復興庁復興庁
  • 文字サイズ
メニュー
閉じる

第42回復興推進委員会議事録

第42回復興推進委員会 議事録

 

1.日 時  令和5年6月19日(月)13時30分~15時01分

 

2.場 所  中央合同庁舎第4号館 12階 全省庁共用1214特別会議室 (オンライン会議併用)

 

3.議 事  

 (1)令和5年度の審議事項・スケジュールについて (2)復興の現状と課題について (3)3県からの報告

 

4.出席委員等(敬称略)

 今村 文彦   東北大学災害科学国際研究所教授 【委員長】
 白波瀬 佐和子 東京大学大学院人文社会系研究科教授 【委員長代理】
 浅野 雅己   浅野撚糸株式会社代表取締役社長
 内堀 雅雄   福島県知事
 奥野 雅子   岩手大学人文社会科学部教授
 小林 味愛   株式会社陽と人(ひとびと)代表取締役
 関 奈央子   ななくさ農園・ななくさナノブルワリー
 戸塚 絵梨子  株式会社パソナ東北創生代表取締役社長
 藤沢 烈    一般社団法人RCF代表理事
 山﨑 登    国士舘大学防災・救急救助総合研究所教授
 山名 元    原子力損害賠償・廃炉等支援機構理事長
 佐藤 隆浩   岩手県復興防災部長 ※達増拓也岩手県知事代理出席者
 千葉 章    宮城県復興・危機管理部長 ※村井嘉浩宮城県知事代理出席者

 

5.議事録

○今村委員長

 それでは、ただいまより第42回復興推進委員会を開催させていただきます。今期から委員長を務めさせていただきます今村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、委員の皆様並びに渡辺大臣、また小島副大臣、竹谷副大臣、中野政務官、山本政務官、里見政務官、西田政務官におかれましては、大変お忙しい中、御出席をいただいております。大変ありがとうございます。

 会議の開催に先立ちまして、渡辺大臣より御挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○渡辺大臣

 今村委員長をはじめ、復興推進委員の皆様におかれましては、東日本大震災からの復興に関しまして、日頃より多大な御尽力を賜り、厚く御礼を申し上げます。

 震災から12年が経過し、本委員会も第7期目を迎えました。今村新委員長の下、新しい体制で、引き続き、どうぞよろしく御助言、御協力をお願い申し上げます。

 被災地の皆様、関係者の皆様の絶え間ない御努力により、復興は着実に進んでおります。他方で、心のケアをはじめ、残された課題もあります。特に、原子力災害からの復興・再生は、まだ本格的に始まった段階であり、引き続き、国が前面に立って、中長期的に対応していくことが必要であります。

 特定復興再生拠点区域については、昨年の福島県葛尾村、大熊町、双葉町に続き、本年は浪江町、富岡町、飯館村の避難指示が解除されることになりました。また、この6月には、福島復興再生特別措置法の改正法が施行され、今後、さらに拠点区域外への住民の帰還等に向けた取組が本格的に進んでいくことになります。

 福島国際研究教育機構、いわゆるF-REIについても、本年4月に設立され、今後、世界に冠たる創造的復興の中核拠点となることを目指し、現在、関係者との連携体制の構築等を着実に進めているところでございます。

 本日は、こうした復興の最新の状況なども御説明させていただきながら、委員の皆様方から忌憚のない御意見を頂戴できればと思います。本日は、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 

○今村委員長

 渡辺大臣、ありがとうございました。

 本日は、岩手県の佐藤復興防災部長が、達増委員の代理で出席されております。

 また、用務の関係で少し遅れての参加になりますけれども、宮城県では千葉復興・危機管理部長が、村井委員の代理で出席する予定でございます。

 この2名については、本委員会運営要領第3条第1項に基づき、委員の代理として本委員会に出席されることを承認したいと思います。

 なお、本日の会議の模様は、ライブ配信により、一般の方または報道機関の方に同時視聴いただいておりますので、御了解いただきたいと思います。また、報道機関の方には、会議の撮影等及び報道での使用を許可しておりますので、御承知おきいただければと思います。

 本日は、今期の初めての委員会となります。委員の皆様からお一人2分程度と、短くて大変申し訳ありませんけれども、自己紹介及び御挨拶をお願いしたいと思っております。また、3県の皆様におかれましては、後ほど、別途、報告の時間を設けておりますので、そちらで御発言をお願いしたいと思っております。

 それでは、まず私のほうから発言させていただきたいと思います。改めまして、東北大学の今村でございます。自己紹介ということで、専門としましては津波工学でございますが、震災発生後、複合災害ということで、改めて巨大な、また非常に影響の大きい災害に対する災害科学を今、研究しているところでございます。

 振り返るに、今年は関東大震災100年でございます。大震災という名称は、関東大震災に加えて、阪神・淡路大震災、そして東日本大震災があります。100年の中で様々な経験と、また忘れてはならない教訓を我が国では蓄積しております。それも、まさにこの復興推進委員会での議論をしながら進めていかなければいけない項目であると思っております。

 従来の復旧だけから、次の災害に備える、また新たな、暮らしやすい、安心できるまちづくりということで復興に進んでおりますし、メンタルケアという分野でも対応が組まれているところでございます。また、昨年度でよろしいかと思いますが、知見の活用ということで、復興庁が取り組んだ様々な活動をまとめていただいているところでございます。

 先日、4月には、私はトルコ地震被災地に行かせていただいて、あの大きな災害、5万人、また7万人と言われている犠牲が出る中、まだ復旧・復興というのはこれからでございます。まさに我が国のこの経験と教訓をつないで、よりよい復旧さらには復興に貢献すべきであると考えているところでございます。

 改めて、今期より、委員長ということでございますので、皆様、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 次に、白波瀬委員長代理からお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

 

○白波瀬委員長代理

 よろしくお願いします。白波瀬と申します。今期も委員長代理を仰せつかりました。よろしくお願いいたします。

 専門は社会学、特に少子高齢化と社会的な不平等について研究してきました。不平等・格差というのは足元で見え隠れしておりまして、コロナ禍にあって話題になりましたが、災害という点におきましても足元の諸制度のところで様々な問題が格差を伴って現れています。

 国際的にも今、委員長からありましたように、日本の災害、特に減災対策につきましては、注目が集まっているところでありますので、よい意味でも国際的な注目をうまく活用して、外圧として、この復興について具体的に前進できればいいなと思います。特に、被災地3県ということですけれども、ここの中で問題の様相も、あるいは今後の進め方についても大きな違いが出てきていると思います。ですから、この違いをどういう形で積極的に次のステップへと進めていくのか。それは、いろいろな意味で始めるということは比較的たやすいのですけれども、1つの区切りをつけていくという点で、なかなか難しい部分もあるかと思います。少しでもお役に立てばと思います。よろしくお願いいたします。

 

○今村委員長

 ありがとうございました。

 それでは、各委員の皆様から名簿順でお願いしたいと思いますが、荒川委員と奥山委員は御欠席でございまして、ビデオメッセージをいただいておりますので、後でまとめて紹介したいと思います。

 それでは、まずは浅野委員からお願いいたします。

 

○浅野委員

 浅野撚糸の社長の浅野雅己でございます。よろしくお願いいたします。今回、初めて、この委員会に出させていただきます。

 今日は、岐阜の安八町という田舎町から、といっても岐阜羽島駅から車で5分程度のところからやってまいりました。家業は撚糸業、従業員60人の町工場です。2000年頃に中国に仕事が行ってしまって、潰れそうになりました。そこから世界唯一無二の糸を開発してタオルを売らせていただいて、経産省さんの御支援をいただきながら奇跡的に復活して、2017年に経産省生活製品課の繊維の将来を考える会のメンバーに選んでいただいて、2019年、その会合の中で福島の復興を手伝ってほしいということで、私もその余力は全くなかったのですけれども、顔だけでも、イノベーション機構のツアーで見るだけでも行ってほしいということで、12市町村を回らせていただきました。

 特に双葉は町長が出てこられて、町まで見て、役員の私と息子と家内の3人で行きました。3人とも泣きました。帰りの車の中で、見ちゃったねということで、双葉町にこの4月22日、オープンさせていただきました。想定外が2つあります。1つは、2019年に立地協定をしたのですけれども、それからのコロナです。これは大変厳しい、うちの本業にとっても厳しい3年ちょっとでした。もう一つは、住民の方が30人しかお戻りにならなかった。地鎮祭のときには、双葉で働く社員はゼロでした。おかげさまで4月22日は20人のスタッフでスタートを切らせていただいております。

 双葉の可能性は、私は交流人口しかないと思っております。観光資源という言葉は4~5年前には使ってはいけない言葉だったのですが、あそこには福島第一原発もありますし、遺構もありますし、一番の観光資源は復興ですね。復興の事実を世界の方々に見ていただこうということで、とんでもない建物ですけれども、写真が資料の中に入っていますので、ぜひ皆さん、応援していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○今村委員長

 浅野委員、ありがとうございました。

 それでは、奥野委員、お願いいたします。

 

○奥野委員

 岩手大学の奥野雅子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 私の専門は、心理学の中で援助の心理学に当たる、臨床心理学です。私の研究というのは、発達障害の研究とジェンダーの研究、そして家族療法、ファミリーセラピーの研究、最近では終末期の患者さんのためのスピリチュアルケアの研究なども行っております。私は岩手県に住んでおりますので、これまで大学院生と一緒に沿岸のほうに支援に行っておりました。地域住民の方を対象とした市民講座などを開催していました。今は、大学の相談センターでカウンセリングを行っておりまして、また、病院などでもカウンセリングを行っています。そういった被災地の人たちの心のケアに少しでもお役に立てればなと思っております。私は、臨床心理士と公認心理師という資格を持っているので、そういった面からも何かお手伝いできることがあるかなと思っています。

 コロナ禍になって、最近ではポストコロナになってきましたけれども、復興のほかにコロナになってみんなの元気がなくなったときに、どうしたらいいかなと思いまして、私は幸せに生きるための心理学講座というYouTubeチャンネルを開設しておりまして、皆さんに、心を元気にする、どんなときでも、少しでも幸せを感じられるようにするための情報提供を行っております。復興庁のYouTubeチャンネルのほうもチャンネル登録して見ているのですけれども、復興庁のYouTubeチャンネルと一緒に頑張っていきたいなと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 

○今村委員長

 奥野委員、ありがとうございました。

 それでは、小林委員、お願いいたします。

 

○小林委員

 株式会社陽と人の小林と申します。よろしくお願いします。

 私は、もともと国家公務員をやっておりまして、社会人1年目のときに衆議院議員会館で東日本大震災を経験しました。そのときに、どうしても社会の役に立ちたいと思って公務員になったのですけれども、なかなか現場の力になれない無力感に非常にさいなまれまして、そこから、いつか自分ができることが見えてきたら、福島のために何かできることをやっていきたいという思いでおりまして、2017年に意を決してサラリーマンをやめまして、福島県に会社を立ち上げました。

 私たちがやっていることは、福島県の課題を解決するような企業、かつ利益もしっかりと上げていくということをやっております。具体的には、福島県の農業の課題の解決、もう一個は女性の活躍の問題、この2点にフォーカスして、このどちらか、または両方合わさる部分というところで、福島の資源の再定義。今まで価値がないと捉えられていたものをもう一回見直して、売れるものにしていく、そんなことをやっております。

 その観点から、商品をつくるというだけではなくて、県内だったり、社会にどういういいインパクトが生まれてくるかという社会的なインパクトの評価というものもやっております。この委員会では、農業の課題、あと、本当に課題だと思っている県内のジェンダーの問題、ダイバーシティの問題。さらには、社会的インパクトの評価、特にF-REIの評価をどうしていくのかというところで意見を言わせていただければと思っております。よろしくお願いします。

 

○今村委員長

 ありがとうございました。

 それでは、関委員、お願いいたします。

 

○関委員

 福島県の二本松市で有機農業を営んでおります関奈央子と申します。

 私は、昔、農水省で働いていて、自分で農業をやりたかったので、同じく農水省で働いていた主人と一緒に福島県に移住して、今年で18年目くらいになります。主人は、同じ敷地内でクラフトビールを造ったり、地域でワインの会社をみんなで営んでいたりもしています。同じ二本松市にはお酒もありますし、福島県は酒どころということで、すごく楽しく生活をしております。

 昨年度、F-REIの中期目標案のワーキンググループのほうにも参加させていただきまして、農業者の立場として、あるいは福島県に住む者として意見を言わせていただきました。今後、地元の期待も高いですし、東北全県から、あるいは日本の代表的な研究機関となるように、私たちも注目していかなければいけないなと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 

○今村委員長

 関委員、ありがとうございました。

 それでは、佐藤部長は飛んで、戸塚委員、お願いいたします。

 

○戸塚委員

 パソナ東北創生の戸塚と申します。どうぞよろしくお願いいたします。今回より初めて参加させていただきます。

 私どもパソナ東北創生というのは、人材の会社のパソナグループの100%子会社になりまして、岩手県の釜石市というところで人材のコーディネートを行っております。具体的には、地域に人を呼び込むという観点で、企業の研修とか大学生のフィールドワークの受入れや、最近ですとワーケーションを行う企業さんが増えていますが、ラーニングワーケーションという形で地域への人の呼び込みというのを行っております。

 もう一つが、地域側での人材採用のところのお手伝いで、地域企業さんの採用支援とか多様な人材活用という観点で、副業の推進や大学生のインターンシップのような、フルタイムで直接雇用ではない形も含めての人材採用や活用というところをお手伝いさせていただいております。

 私自身の話で言うと、東京生まれの東京育ちなのですけれども、新卒でパソナにいた2年目に震災があって、ボランティアでたまたま岩手の釜石に出会いまして、ボランティア休職という形でパソナを休職し、そこで現地の社団法人の職員を1年やった後、何かしら釜石に関わり続けられないか、復興に寄与できないかという考えから、パソナの社内ベンチャーという形で2015年に会社を設立させていただいております。

 私自身も移住して釜石の暮らしを非常に満喫しているのですけれども、今回、福島の関連の方、すごく多くいらっしゃると思いますが、岩手県とか宮城県、もちろん課題もたくさん多い中ですけれども、働き方とかテレワーク、ワーケーションなど、新しい動きといったところで、もしかしたら日本の中でもなかなか珍しいのではないかということも起きていると思っておりまして、そういったポジティブなところも含めて皆様に御紹介できたらいいなと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 

○今村委員長

 戸塚委員、ありがとうございました。

 では、藤沢委員、お願いいたします。

 

○藤沢委員

 一般社団法人RCFの藤沢と申します。今回から参加させていただきます。

 私、2年前から福島12市町村移住支援センターのセンター長を仰せつかっておりまして、浜通り地域への移住の促進のほうを担当させていただいております。その話を幾つか申し上げると、1点、最近、センターのサイトが海外からのアクセスが急増しておりまして、どうやらNetflixで最近、原発事故に関するドラマが始まって、それによって海外からかなり見られている。センターのほうにも見に来ているようです。ですので、引き続き、福島、東北3県、世界からも関心が強いのかなと改めて感じている次第でして、ただ事故だけではなくて、その後の前向きによみがえりつつあるという点をしっかりセンターとしても発信していきたいと感じております。

 また、移住者もおかげさまで年々増えております。増えている要因として仕事ですね。浅野撚糸さんのお話もありましたけれども、おかげさまで仕事が増えていることが、移住が増えている大きな要因です。他方、せっかく仕事があるのだけれども、お住まいが限られていて、いわきに住まざるを得ないといった方が多く、住宅面での課題。そして、この地域、コミュニティが一度消失してしまっておりますので、来た方がどう定着していただくかは、まだまだ課題が多いなと。そして、何より市町村の皆さんの負担がまだ大きく、移住に向けての動きもまだまだ限られているというふうにも感じておりまして、国の役割も大きいのだろうと感じております。

 私、福島の点でのコメントができればと思っておりますけれども、岩手・宮城にも通じる点があると思いますので、その辺りを含めてコメントさせていただければと思っております。

 

○今村委員長

 藤沢委員、ありがとうございました。

 それでは、山﨑委員、お願いいたします。

 

○山﨑委員

 国士館大学の山﨑と申します。引き続き、委員を務めさせていただきます。よろしくお願いします。

 私は、専門は災害情報とか災害報道で、国士館に来るまで30年以上、NHKという報道機関で災害とか防災の記者とか、それから解説委員という仕事をしてきまして、ここ30年以上、様々な災害の現場に行って、災害直後・復旧の様子、それから復興の過程を見てきましたけれども、一番難しいのが復興だなと思います。阪神・淡路大震災の頃は、橋を直すとか建物を造るとか、インフラがある程度戻れば、まあ、復興はある程度の段階に来たねということが言えたのですけれども、阪神・淡路大震災の後、5年たっても、10年たっても、被災者が復興感を持てない、幸せな感情を持てないという感じになった。

 それを調べてみると、コミュニティが崩壊しているとか、生きがいが戻ってこない、それから文化が返ってこないということが様々絡まって、人間の復興というのを考えないといけないのではないかということになってきたときに、じゃ、人間の復興を何ではかるのか。どこまでいったら復興ができたということが言えるのだということが、まだはっきりしていないので、多分、そこが一番難しいところなのだろうと思います。

 東日本大震災の被災地は、とにかく広いし、多様ですし、地域性も随分いろいろあって、復興が進んでいるところもあれば、あるいは福島のように、ようやくその端緒につき始めたみたいなところもあって、そのそれぞれの地域に寄り添って、どうやって復興を進めていくのかというのは本当に大きな課題だと思います。私は個人的にも、NHKに入ったときの初任地が盛岡局でしたので、東北の被災地は全部取材で回ったところで、被災の様子を見たときには本当に涙が出ましたけれどもね。

 先ほど今村委員長が今年は関東大震災から100年だとおっしゃっていましたが、その関東大震災の復興に力を尽くした後藤新平が「人間を育てて人間を残すことが一番の復興なのだ」ということを言っています。そのことを皆さんと一緒に考えながら、東北3県の復興に少しでもお役に立てるようなことができればいいなと思います。よろしくお願いします。

 

○今村委員長

 山﨑委員、ありがとうございました。

 それでは、山名委員、お願いいたします。

 

○山名委員

 原子力損害賠償・廃炉等支援機構の理事長の山名でございます。

 私の機構は、福島第一の事故を受けて、東京電力に賠償の責任を果たさせる、廃炉の責任を果たさせる、それに関して東電の経営をしっかりやらせるという実務を担っている組織でございます。私自身、京都大学におりましたときから、事故直後から事故後の対応に当たっておりますが、今は浜通り中心に事故後の収束の取組に全力をかけているということでございます。福島を中心に私は対応しておりますが、当然ながら、その影響は宮城県・岩手県にも間接的・直接的に及んでおります。こういう広い目で復興に関して、私のできる限り協力をいたしたいと思っております。

 個人的にも、福島に私の父親が終戦直後におりましたこととか、家族が宮城県の出身であるとか、岩手県を何度も訪問している等、東北には大変な思い入れがあります。そのような立場から、この復興に御協力したいと思っております。

 以上です。

 

○今村委員長

 山名委員、ありがとうございました。

 それでは、本日、御欠席の荒川委員、また奥山委員からビデオメッセージをいただいておりますので、放映のほうをお願いいたします。

 

○荒川委員

 荒川静香です。私は、17年前よりプロフィギュアスケーターとして活動する傍ら、2児の母親として日々過ごしております。

 この復興推進委員会の活動に参加させていただくようになり、2期目となりますが、現在の状況、そして必要なこと、まだまだたくさんあると思いますので、私自身も微力ながら何か力になれるようなことを考えていければと思っております。

 皆様とともに情報を共有し、そして、よりよい環境を目指して、少しでもいい方向に日本が進んでいくように活動していければと思っております。よろしくお願いいたします。

 

○奥山委員

 福島大学の奥山修司です。復興推進委員を引き続き続けることになりました。

 個人的には、福島に設立されていますF-REIが、これから福島の復興推進、また日本の推進に大きなインパクトを与えられるような機構となることを見守っていきたいと思っています。引き続き、よろしくお願いします。

 

○今村委員長

 ありがとうございます。

 以上で委員の皆様から御紹介と御挨拶をいただきました。様々な分野に関して貴重なコメントもいただいたと思います。大変ありがとうございました。

 それでは、議事のほうに入りたいと思います。議事次第を見ていただきたいと思いますが、本日は3つございます。1つは、令和5年度の審議事項・スケジュールについてでございます。これについて事務局から御説明いただきたいと思います。その次、2番目が復興の現状と課題についてであります。最後、3番目が、3県からの報告ということで、取組の御説明をぜひお願いしたいと思います。全ての項目に関して御説明いただいた後、まとめて委員の皆様には御意見をいただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、議事1ということで「審議事項・スケジュール」について事務局から御説明をお願いいたします。

 

○角田統括官

 統括官の角田でございます。よろしくお願いいたします。

 それでは、お手元の資料1を御覧いただきたいと思います。

 今後のスケジュールでございますけれども、本日の後、夏から秋に3県の現地調査を間に挟みまして、11月頃に次の委員会の開催を考えてございます。そちらで現地調査の報告がございまして、その後、国会に毎年、復興状況の報告をいたしておりますので、こちらを御議論いただきたいと思います。それから、3県からの報告をいただくということでございます。

 年を越えまして、2月頃になりますけれども、次の委員会でございますが、こちらはF-REIの業績評価を令和6年度にやりますので、その方向性についての御議論をいただきたいと思っております。また、3県からの御報告をいただきたいと考えてございます。

 日程につきましては、以上でございます。

 

○今村委員長

 ありがとうございます。

 それでは、引き続いて「復興の現状と課題」について御説明をお願いいたします。

 

○角田統括官

 続きまして、資料2-1を御覧ください。「復興の現状について」ということでございます。

 おめくりいただきまして1ページですけれども、こちらは東日本大震災の概要です。既に御存じのことと思いますので、詳細は申し上げませんけれども、先ほどもお話がございましたように、大変広範囲に被害が及んだ、津波の被害があったということでございます。多くの死者を出したところでございます。加えまして複合災害ということで、ここがまた復興の状況を複雑に、長いものにしているというか、復興に非常に時間がかかっているということでございます。

 2ページを御覧ください。総括的に申し上げますと、地震・津波、自然災害の被災地域につきましては、いわば復興の総仕上げの段階ということで、インフラ等は進んでまいりましたけれども、先ほども人間の復興というお話がございましたけれども、残された課題がございまして、こちらに力強く取り組んでいるところでございます。

 それから、原子力災害被災地域という点につきましては、非常に対照的にというか、本格的な復興再生はまだ始まったばかりであるということでございます。引き続き、国が前面に立って、中長期的に対応していく必要があるだろうと考えてございます。

 総括的には以上でございますが、3ページ、御覧ください。被災地共通の課題というか、取組ということで、1つは、非常に大きなテーマですけれども、被災者支援ということでございます。避難者数自体は大幅に減少してきているわけでございますけれども、復興のステージに応じた切れ目のない支援を継続していく。高齢者等の見守りとかコミュニティ形成といったところは、引き続きの大きな課題となっているということでございます。

 それから、住まいとまちの復興につきましても、整備自体は進んでまいりましたけれども、今はむしろ高台など造成した宅地ですとか、その移転の元地につきまして、ハンズオン支援などによりまして、どういう活用の方法があるのか、いろいろとノウハウの提供などを行っているところでございます。

 3つ目の産業・生業の再生も重要な課題ですけれども、とりわけ被災地の中核産業でございます水産加工業につきまして、販路を失ったところからどうやって開拓していくかということを支援させていただいているということでございます。また、昨今におきましては、右側の棒グラフにありますように、漁獲量そのものが非常に低迷しているという問題もあったり、魚種が変わってきているといった問題もございますので、こういったところにも目配りが必要になっているということでございます。

 4ページ以降は、原子力災害からの復興・再生ということでございます。

 1つ目に、廃炉・汚染水・処理水対策ということでございます。原子力発電所の廃止措置等に向けまして、中長期ロードマップを踏まえまして、国が前面に立って、安全かつ着実に実施していく方針でございます。最近話題になりますALPS処理水につきましては、基本方針及び行動計画に基づきまして安全性を確保します。また、風評対策に全力で取り組んでいるところでございます。

 2つ目で、環境再生の取組で、除去土壌とか廃棄物の関係でございますけれども、現状は最終処分に向けました減容・再生利用というのをどう進めていくかというのが課題になってきておるところでございます。

 また、福島県は比較的進んでいるのですけれども、県外におきまして除去土壌等の処理がなかなか難しいという状況にございまして、こちらも引き続きの課題となっているところでございます。

 5ページが避難指示解除の関係でございますけれども、この表にございますように、まず帰還困難区域以外の区域につきまして、順次、避難指示を解除してまいって、その後、帰還困難区域の指示解除ということが課題になってまいりました。こちらにつきましても、特定復興再生拠点区域、こちらにございますように、順次解除が進められてきたところでございます。今、課題が拠点区域外の問題になってきておりまして、その取組のところにございますように、2020年代をかけて、帰還意向のある住民の方々が全員帰還できますように、避難指示解除に向けた取組を進めていくということでございます。

 6ページにございますように、このための方法といたしまして、福島復興再生特別措置法を改正いたしまして、新たに特定帰還居住区域という区域を創設することといたしまして、帰還される住民の方の生活の再建を図っていくということを制度化したものでございます。

 7ページを御覧ください。避難指示解除というのはいわばスタートでございまして、そこから実際に帰還していただくためには、様々な生活環境の整備を進めなければならないということでございます。また、その帰還する方だけでは十分な人口にならないということもございますので、新たな住民の方の移住・定住の取組ということも併せて行わせていただいているところでございます。

 関連して仕事も大事という話がございます。8ページを御覧いただけますでしょうか。福島イノベーション・コースト構想でございますけれども、様々な拠点の整備をしてまいりました。今後の取組でございますけれども、引き続き、地元企業による新事業の展開というのが1つの柱でございますが、もう一つ、域外からの事業者の呼び込みということを両輪といたしまして、取組を進めてまいりたいと思っております。

 9ページはF-REIの関係ですが、これはまた後ほど別の資料で御説明申し上げます。

 10ページ、7番、農林水産業の再生ですけれども、現状、原子力災害被災12市町村の営農再開面積は、震災前の43%ぐらいまでまいってきております。これは2025年度までに1万ha、農地転用した部分を除けば3分の2ぐらいがカバーできるようなところを目標として、今、引き続き営農再開に力を入れているところでございます。

 それから、漁業の関係。先ほどちらっと頭出しいたしましたけれども、水揚量は、トータルとしては震災前の56%ぐらいのところにあるわけですけれども、沿岸漁業について見ますと震災前の21%ということで、ようやく本格操業への移行が始まってきたという段階でございます。

 営農再建につきまして引き続き支援いたしますとともに、販路の開拓など漁業の本格的な操業再建に向けた支援とか、被災地産品への風評の払拭などに努めてまいりたいということでございます。

 8番の風評対策の取組にございますように、様々な媒体を活用して情報発信しましたり、ALPS処理水に関しましては、理解醸成に向けた政策パッケージを取りまとめているところでございます。

 詳細は省略いたしますけれども、G7の広島サミット関係閣僚会合などでも、様々な情報発信に努めたところでございます。

 12ページ、震災の記憶と教訓の継承ということでございます。

 国営追悼・祈念施設というものを設けておりまして、岩手・宮城につきましては令和2年度末に整備が完了したところでございますが、福島につきましては令和7年度内での完成を目指して、引き続き整備を進めているところでございます。

 2番目の震災遺構・伝承施設でございますけれども、震災伝承ネットワーク協議会というものに復興庁としても参画させていただいているところでございます。また、お手元、こちらのほうでございます。後ほど御覧いただければと思いますが、「るるぶ」の特別編集ということで、「るるぶ」に御協力いただきまして「伝承施設ガイド」の発行もさせていただいたところでございます。委員長にも御登場いただいております。それから、東北復興ツーリズム推進ネットワークという、これはJR東日本が音頭を取ったものでございますけれども、こちらにも復興庁として参画させていただいております。

 3番でございますけれども、マル1にございますように、「教訓・ノウハウ集」というものを令和3年3月に公表いたしております。

 それに続きまして、マル2でございますが、「復興政策10年間の振り返り」ということでございます。これは今年の夏頃公表予定ということで、外部の専門家の方の意見も伺いながら、組織・取組の変遷ですとか、復興に係る評価・課題などを取りまとめさせていただいている最中でございます。

 それから、「繋ぐ、未来へ」の公表ということがございます。

 4番目ですが、先ほどもございましたけれども、ウクライナとか海外への知見の提供ということにも目配りさせていただいているところでございます。

 その後は参考資料ということでございますので、資料2-1はこのぐらいにさせていただきまして、資料2-2、F-REIのほうに移りたいと思います。

 最初のページはF-REIの概要でございますけれども、真ん中の上のほうの欄にありますが、研究開発、産業化、人材育成、司令塔機能の発揮ということで、4つの機能を担っているところでございまして、世界に冠たる「創造的復興の中核拠点」を目指して、この4月1日に設立されました。

 2ページにございますように、4月1日の設立の日には、総理にも御参加いただいてオープンさせていただいたところでございます。

 3ページでございますが、理事長を中心といたします体制でございます。多くの方にお集まりいただいているところでございます。

 4ページでございます。ここは復興推進委員会との関係を若干記載させていただきましたので、少し御説明させていただきたいと思います。真ん中の段のところに中期目標を主務大臣が作成するとありますが、これは前事務年度でお世話になり、復興推進委員会でも御議論いただきまして、それを踏まえて主務大臣として中期目標を提示させていただいたところでございます。

 更にこれでは終わらないということでございまして、一番下に業績評価というのがございまして、これは毎年度、業績評価を主務大臣がすることになるわけですが、その際には、また復興推進委員会からの意見を頂戴する必要があるということでございますので、引き続き、よろしくお願い申し上げます。

 5ページと6ページは、中期目標に即しまして機構が定めた中期計画ですけれども、細かくなるので省略させていただきたいと思います。

 7ページ、8ページは、ややハードですけれども、施設整備のところについて少し整理させていただいたものですけれども、詳細な説明は省略させていただきたいと思います。

 9ページでございます。F-REI協議会ということで、これは法律に基づきまして、新産業創出等研究開発協議会というものを設けてございまして、水色のところの幅広いメンバーの方に参加いただきまして、第1回会議を5月10日に大熊町のほうで開催させていただいたところでございます。いろいろな関係者がございます。多くの方々に御協力をいただきながら、F-REIの機能・効果というものが多く波及していくように努めていく必要があると認識しているところでございます。

 10ページでございますけれども、当面のF-REIのスケジュールでございますが、1つはトップセミナーということで、県内の大学とか高校・高専などに理事長とか理事とか幹部が訪問して、いわば人材教育の一環として対応させていただくという形。

 ②は市町村座談会ということで、15市町村ごとに順次開催して、それぞれの地域の様々なシーズとかニーズとかお話を伺っていこうという試みでございます。

 また、先ほど第1回と申し上げましたけれども、第2回の新産業創出等研究開発協議会につきましては、9月以降に開こうということを考えているところでございます。

 簡単でございますが、最新の状況について御説明申し上げました。以上でございます。

 

○今村委員長

 ありがとうございます。

 また、関係の資料に関しては、お手元に参考資料とか冊子がございますので、見ていただければと思います。

 それでは、続いて、議事3に移りたいと思います。「3県からの報告」でございまして、岩手、宮城、福島の順で御説明をいただきたいと思っております。

 まずは、岩手県さんのほうの説明をお願いしたいと思います。

 

○佐藤代理

 岩手県でございます。東日本大震災津波からの復旧・復興に当たりましては、委員の皆様や復興庁、そして国内外の皆様から多くの御支援をいただきました。大変感謝申し上げます。

 それでは、資料の説明をさせていただきます。資料3-1になります。

 2ページ目を御覧いただきたいと思います。こちらは、岩手県の復興関連計画を示してございます。

 資料右側、赤枠で囲んでいるところでございますけれども、今年3月に、今年度から令和8年度までの4年間を計画期間といたします第2期復興推進プランを策定したところでございます。この第2期復興推進プランに基づきまして、個人の尊厳を基本価値とし「誰一人として取り残さない」という理念の下、三陸のより良い復興の実現のため、資料下段に記載の4本の柱に沿った取組を進めております。

 以下、復興の現状と今後の主な取組について説明させていただきます。

 3ページでございます。

 まず、左側、安全の確保でございます。

 1、防潮堤や水門などの海岸保全施設等の復旧・整備は、計画いたしました73地区中、令和4年度までに71地区で整備が完了してございます。

 また、3の日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震対策の推進でありますけれども、昨年9月に公表いたしました「岩手県地震・津波被害想定調査報告書」を踏まえて、県と沿岸市町村で実務レベルの検討会議を立ち上げ、具体的な減災対策を検討しているところでございます。

 資料下段、今後の主な取組でございますけれども、マル1の残された社会資本の早期整備、マル2の沿岸市町村の巨大地震・津波対策への取組のきめ細かな支援などに取り組んでまいります。

 右側にまいりまして、暮らしの再建でございます。

 1のこころのケアの関係でございますが、県が設置しております岩手県こころのケアセンターにおいて、被災者のこころのケアの取組を継続しておりまして、令和4年度の相談件数、7,300件を超えるということで、依然として多くの相談が寄せられている状況でございます。

 また、2の(1)いわて被災者支援センターにおきまして、被災者の生活再建の支援を行っております。家族や家計、債務に関する被災者からの多くの相談に、弁護士等の専門家等と連携して対応しているところでございます。

 下段、今後の主な取組についてでございますけれども、マル1の被災者に寄り添ったこころのケアを継続するとともに、マル2の住民が主体となったコミュニティの形成と活性化に向けた支援、マル3の被災地の復興・発展を支える人材を育成する「いわての復興教育」を推進してまいります。

 4ページをお願いいたします。

 左側、なりわいの再生でございます。

 1、主要魚種の不漁に対応するためということで、資源回復、増加している資源の有効利用、新たな漁業・養殖業の導入等を3本の柱に取組を進めているところでございます。表にございますとおり、サケ・マス類の海面養殖の生産量は年々増加してございます。令和3年度には、サケの漁獲量を上回る生産という形になりました。昨年度は前年度の約2倍となる1,200tを生産したところでございます。

 また、2の商工業・観光の振興でございますが、復興の動きと連動した観光キャンペーンの展開や、教育旅行の誘致等の取組を進めてきたところです。三陸地域の主要観光地の入込客数、コロナの影響により大きく落ち込んでおりましたが、令和4年度、310万人を超えるということで、回復傾向にございます。

 下段、今後の主な取組ということでございますが、マル1の大型で遊泳力の高いサケ稚魚の生産や、アワビ種苗の放流等による資源回復。

 それから、マル3の新たな交通ネットワークを活用いたしました産業振興の推進のほか、マル4でございますけれども、ニューヨーク・タイムズ紙に「2023年に行くべき52か所」の2番目に盛岡市が掲載されたということもございまして、こちらを契機といたしまして、本県へのインバウンド誘客、沿岸地域への周遊促進に取り組んでまいります。

 続いて、右側、未来のための伝承・発信でございます。県の伝承施設、東日本大震災津波伝承館の来館者数でございますが、今年4月11日に70万人を達成したところでございます。

 また、2の(2)高田松原復興祈念公園を会場に、天皇・皇后両陛下の御臨席を仰ぎまして開催されました第73回全国植樹祭いわて2023のほうで、支援の感謝と復興に力強く取り組む岩手の姿を国内外に発信したところでございます。全国植樹祭には、渡辺復興大臣にも御出席いただきました。重ねて感謝申し上げます。

 下段、今後の取組でございます。

 マル1の東日本大震災津波伝承館を拠点といたしました震災の事実・教訓の伝承に引き続き取り組みますとともに、マル3の県内外の震災伝承施設等と連携して三陸地域への周遊を促進してまいります。

 最後、5ページでございます。東日本大震災津波からの復興の更なる推進ということで、今月14日、復興庁さんをはじめといたしまして、各省庁に対し、県から令和6年度の政府予算要望を実施したところでございまして、復興関連の主な要望項目を記載しているところでございます。引き続き、復興に全力で取り組んでまいりますので、委員の皆様、復興庁の皆様には、今後も変わらぬ御支援、御協力をお願いしたいと思います。

 説明は以上でございます。

 

○今村委員長

 ありがとうございました。

 それでは、宮城県は千葉様からお願いいたします。オンラインですね。

 

○千葉代理

 宮城県復興・危機管理部長の千葉でございます。本日は、知事が不在のため、代理で出席させていただいております。

 初めに、委員の皆様、復興庁の皆様には、復興の完遂に向けて御尽力をいただいておりますことに対し、改めて感謝を申し上げます。私からは、本県の復興状況について、お手元の資料3-2により御説明申し上げます。

 2ページを御覧ください。本件の東日本大震災における被害状況でございます。後ほど御覧ください。

 次に、3ページを御覧ください。12年間の復興の歩みをまとめ、掲載しております。震災発生からこれまで、創造的な復興の実現を目指し、人口減少や少子高齢化など、現代社会を取り巻く諸課題を解決するモデルとなるような地域づくりを進めてまいりました。

 次に、4ページを御覧ください。復興に向けた主な取組状況について取りまとめた資料でございます。なお、観光につきましては、後ほど改めて説明いたします。

 次に、5ページから7ページまででございますけれども、被災直後と、被災から12年経過した現在の様子をエリアごとに定点観測した資料となっております。

 次に、8ページを御覧ください。県内の主な震災伝承施設について掲載しております。東日本大震災により、未曾有の被害を被った我が県には、震災で得られた教訓を後世に語り継ぐとともに、全国に広く伝えていく責務があると考えておりますことから、地域内外の多くの方々に県内各地の震災伝承施設や遺構に足を運んでいただくため、被災自治体や伝承団体などと一体となった取組を進めております。

 みやぎ東日本大震災津波伝承館の来館者数が10万人に到達するなど、取組の成果が現れている一方で、震災の記憶の風化が進むことで、来訪者の減少、それに伴う伝承活動資金や担い手の確保といった、今後懸念される諸課題への対応も必要となってきております。こうした状況の中で、伝承活動や伝承施設の運営を継続させていくためには、被災地の交流人口や関係人口を増加させる取組が重要であると考えております。

 次に、9ページを御覧ください。本県の観光客入込数につきましては、平成29年に震災前の水準を上回り、その後も順調に増加しておりましたが、令和2年度に新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、減少に転じました。このような状況を踏まえ、本県では、コロナ禍前の水準に回復する目標を基本とした持続可能な観光地づくりに取り組んでおります。

 この中で、被災地への誘客を促進するための取組として、復興への感謝とともに、震災の経験や教訓を次世代へ伝承し、防災・減災学習を通じた未来を生きるための知識や知恵を育むための復興ツーリズムや、教育旅行の誘致を積極的に推進しております。また、増加が期待される外国人観光客の誘致、伝承施設の展示物や震災に関する広報物の多言語化などにも取り組み、震災の記憶の風化防止と教訓の伝承につなげたいと考えております。

 今後も被災地の一つ一つの課題に応じたきめ細かな取組を進めてまいりますので、委員の皆様、復興庁の皆様方におかれては、引き続き、御支援と御協力を賜りますようお願いいたします。

 私からは以上でございます。

 

○今村委員長

 千葉様、ありがとうございます。

 引き続きまして、福島県の説明を内堀知事、お願いいたします。

 

○内堀委員

 ありがとうございます。

 今村委員長、渡辺復興大臣をはじめ、今日、リアルでこの会議に参加されている皆さん、そしてオンラインを御覧になっている皆さん、福島の復興・創生に大変お力添えいただいていることに心から感謝申し上げます。ありがとうございます。

 皆さんのお手元の資料3-3の1ページを御覧ください。主に下段の赤い字の部分を見ていただければと思います。

 特定復興再生拠点区域について、富岡町の一部を除き6つの町村全ての区域において避難指示が解除されました。また、福島復興再生特別措置法の改正により特定帰還居住区域が創設されたことは、帰還困難区域全体の避難指示解除に向けた大切な一歩であります。

 一方、避難指示の長期化等に伴う様々な課題に対して、国は地元自治体と真摯に協議を重ね、その意向を十分に踏まえながら、全ての避難指示を解除し、復興・再生に最後まで責任を持って取り組む必要があります。

 避難指示が解除され、日々復興に取り組んでいる自治体においても、居住の実態を見ても分かるとおり、地域によって復興の進捗は大きく異なっていることから、それぞれの実情を踏まえて対応する必要があります。

 引き続き、国、県、市町村等が連携し、避難地域の復興・再生に向け、全力で取り組んでいく必要があるとともに、多様な担い手を確保・育成していくことが不可欠であります。

 2ページをお願いします。

 12の国・地域による県産食品の輸入規制が継続しているなど、根強い風評が続いていることに加え、風化への対応も不可欠です。県産品の流通促進や販路回復・定番化を図るとともに、ホープツーリズムの拡充・強化等により、観光誘客の促進に取り組む必要があります。

 また、ALPS処理水の問題は、日本全体の問題であることから、国が前面に立って、政府一丸となって取り組んでいただきたいと思います。

 国内外の理解醸成に向けた正確で分かりやすい情報発信を行うとともに、新たな風評を発生させないよう、最後まで責任を全うしていただきたいと考えています。

 3ページです。

 福島イノベーション・コースト構想については、関連企業の立地や地元企業との連携が進められるなど、成果が着実に現れています。

 引き続き、関係機関と連携し、関連産業の集積や実用化開発の支援などに取り組むことが重要です。

 福島国際研究教育機構に関しては、地域に根差し、設置効果を広域に波及させる取組についてもしっかりと進めていくとともに、研究者等が安心して生活できる環境等の充実について、国、県、市町村、関係機関等が連携して取り組む必要があります。

 4ページです。

 福島第一原子力発電所及び第二原子力発電所の廃炉に向けた取組について、県民や国民の理解の下、安全かつ着実に進められることが福島県の復興の大前提です。引き続き、国が前面に立ち、東京電力を適切に指導・監督していただきたいと思います。

 法律に定められた国の責務である除去土壌等の2045年までの県外最終処分に向けて、最終処分地の選定等の具体的な方針・工程を速やかに明示し、県民及び国民の目に見える形で取組を進めていただきたいと思います。

 最後は、5ページです。

 東日本大震災と原子力災害から12年余りが経過した今もなお、本県の復興は「いまだ途上」にあり、今後も「長く厳しい戦い」が続きます。県民が不安や懸念を抱くことなく、未来に夢や希望を持てるよう、復興に向けた取組を着実に前進させていく必要があります。

 第2期復興・創生期間において、復興財源フレーム決定後に新たに生じた課題や多様なニーズに的確に対応するとともに、既存の事業執行に支障が生じないよう、国においては、必要に応じて財源フレームの見直しをお願いいたします。

 第2期復興・創生期間後においても、切れ目なく安心感を持って中長期的に復興を進めることができるよう、十分な財源と枠組み、復興を支える制度をしっかりと確保していただくようお願いします。

 第2期復興・創生期間の折り返しを迎える中、復興の地ふくしまの実現に向け、国・市町村・関係団体等と皆さんと一体となって挑戦を続けてまいります。

 私からは以上です。

 

○今村委員長

 内堀知事、ありがとうございました。

 おかげさまでスケジュールどおりに進めておりまして、30分ほどお時間があります。ただし、30分もあまり長くないので、これから各委員から要領よくコメント、アドバイス、御意見等をいただきたいと思っております。内容をできるだけシンプルにまとめていただければと思います。本日は、最初に各委員の御挨拶からいただき、復興庁、また3県からの非常に貴重な情報をいただいたところでございます。ぜひ忌憚のない御意見をいただきたいと思います。順番はありませんので、ぜひ各委員からお願いしたいと思います。どちらの点でも結構でございます。どうでしょうか。

 では、白波瀬先生。

 

○白波瀬委員長代理

 いろいろ御説明ありがとうございました。明らかに進んでいるところと、なかなか難しいというところが本当によく分かって、大変参考になりました。

 福島のF-REIについて、ちょっとお伺いしたいのですけれども、地元に根差してという非常に大切なミッションがあるということは承知しています。ただ、国際的に最先端の動きを反映させることも見落とせないと思います。地元と国際的という視点が相反するということではないのですけれども、広報という点で、外からなかなか見えにくいというのがちょっと残念なところであります。ですから、より積極的に、最近は大学とか国際学術機関でもコミュニケーションスタッフというのは非常に重要です。そうそうたる先生方が参画されていることは分かりますが、具体的に機構を動かし、また発信する際に広報は重要ですし、あと人事は組織の屋台骨になります。研究に際しての具体的にどういう研究がまず展開されているのかというところもまだ見えにくいので、その辺り、現状での動きということで結構ですので、何かあったら教えてください。

 

○今村委員長

 分かりました。もし、F-REIに関して、ほかにも御質問とかありましたら、まとめていただいて、事務局に状況を御説明いただきたいと思いますが、皆様のほうからF-REI関係は。

 関委員、お願いいたします。

 

○関委員

 ありがとうございます。

 私も白波瀬委員長代理がおっしゃったことと、本当に同じことを考えておりまして、どのような研究がこれから進められようとしているのか、なかなか分からないところが多くて、特に私自身が気になっている農業関係は、福島の人たち、例えば福島大学がこういう分野でとおっしゃっているところとか、本当に盛り込まれていくのだろうかとか、いろいろ気になっているところですので、今、どのような状況なのかをぜひ教えていただけたらと思います。

 

○今村委員長

 ありがとうございます。

 小林委員、どうぞ。

 

○小林委員

 2点ありまして、1点目が研究者の方の働き方というか、地域の環境という面なのですけれども、資料を拝見して、医療の面で御高齢の方向けの医療の文脈が非常に大きい気がしていて。とはいえ、研究者の方々はそういう方ばかりではないと思っているのと、子育て中の方々もいると思うので、例えば小児科とか婦人科といったような医療の分野の体制がどうなっているのか、また改善していく必要があるのかというところを伺いたいです。

 あと、広報のところで私もとても問題意識を持っていて、県内にいてもなかなか分からないというところがあって、極めて抽象的なのです。多分、具体がこれから決まっていくということだとは思うのですけれども、分かりやすさというところを重視していただきたいのと、マスメディアだけでは住民への認知というのはなかなか広がらないかなと思っておりまして、F-REIの中に地域とのつなぎ役をダイレクトにできるようなコミュニティコーディネーターみたいな機関・役職みたいなものを機能として持っていただけないかと考えているところです。

 以上です。

 

○今村委員長

 ありがとうございます。同様の御意見をいただきました。

 F-REIに関して他には。藤沢委員、どうぞ。

 

○藤沢委員

 F-REIに関して、目標設定のときも委員として関わらせていただいておりました。そのときも出ましたが、コミュニケーションに関して、一般的な学術のアウトリーチも大事なのですけれども、同時に、この場合は地域とどう連動するのかが重要だということで、通常のコミュニケーションに加えて、先ほどあったコーディネーター的に地元の自治体あるいは企業の方と接点が持てるような方を強化されているかという点が気になっております。

 以上です。

 

○今村委員長

 ありがとうございます。大体よろしいでしょうか。

 F-REIに関しては、本日は資料2-2でまとめてございまして、特に今後のスケジュールは、10ページにトップセミナー及び座談会という情報では書いてございますが、今の委員からの御指摘は、もう少し県民、また市民に御理解いただくような機能が必要ではないかという御意見でございます。

 事務局からお願いします。

 

○角田統括官

 若干概括的なことは私のほうから、それから研究に特化したものについては由良統括官から補足してもらおうと思います。

 おっしゃっていることは非常によく分かります。コミュニケーションがうまく取れているかということだろうと思うのですけれども、実際はまだ具体の研究が出てきている段階でもないので、今、こういうことをやっていますよということをお示しする中身の部分が、現時点では正直言うとないということで、この4月1日に立ち上げて何をしているかというと、私なりの理解では、中期計画、5分野というものがあって、分野は広くていろいろあるのだけれども、実際に魅力ある研究というのはどういうものなのかということを、ちょっと時間をかけて議論しようではないかということで、理事長を中心に相当議論を進めておられると思います。

 それで一定のイメージをつくって、そして、5分野ありますので、分野長という方に仕事をお願いする。これも内々はかなり煮詰まってきているようです。今は、そういう体制で、その先にPIというか、研究チームを設置していくことになるので、そういったものが実際に見えるようになるのはもうちょっと先なのだろうと思っています。

 あと、役所の仕事として何をしなければいけないかというと、夏は概算要求もしなければいけなくて、実は令和6年度の予算をどうするのだという話も並行してやらざるを得ないものですから、少ないスタッフが非常に多忙をきわめているような状況の中で、コミュニケーションのところにまだ行き着いていないという状況にあるのだろうと思っています。

私としては、今いろいろ御注文いただいたのは期待の裏返しだと思うのです。それは非常に重たく受け止めて頑張らないといけないと思っていますし、また現場に行っても励ましてこようと思いますけれども、今、そこまで要求するのはかわいそうじゃないかということも、私自身は思っていまして。理事長も相当飛び回って仕事をされていますが、認知度が今の段階ではまだなかなか上がっていないぞということだと思います。そういう新聞記事も拝見したところでございますので、そういうお声があることは十分受けとめて、しっかりと対応していきたいなと思っています。

 今、コミュニケーションのための専任のスタッフというところまではいっていないのですけれども、経営企画課というところが担当部局としてありまして、関係機関との連絡調整などはそこを中心にやろうということで、組織的には動かしているのですけれども、何せこの4月1日から着任したばかりで、必ずしも人的関係もできていない中ですので、これから頑張って立ち上げていくということになるのだろうと思っています。言い訳のほうが前面に出過ぎたかもしれませんけれども、現状を御説明させていただきました。

 由良統括官から補足点があればお願いします。

 

○由良統括官

 統括官の由良でございます。

 研究部分について、研究、産業化、人材育成、3つの活動ですけれども、研究活動が一番優先だろうということで、今、角田統括官からも申し上げましたが、分野長の選定を進めております。各分野でどういう研究をするのか。この資料で言いますと、6ページに項目が書いてありますし、こういったそれぞれのテーマ自体はすぐに変わるというより、これをベースに研究テーマを立てていく予定でございますけれども、実際にこの中でそれぞれのテーマがどういうふうにより力強い研究になっていくかというところ、研究者間での意見交換というのが大事だと認識しております。

 分かりやすく言いますと、例えば3番、エネルギーのところでは、エネルギーの専門家の間で、今、福島でどういう研究活動を実施するのが一番適しているか。世界中でゼロエミッション、カーボンニュートラルということが言われておりますし、実証事業だけであれば国を挙げての取組というものが進んでおりますけれども、これまで議論してきたことに比べますと、もう少し研究者目線で、時間のかかるものでもチャレンジしていきたいという思いで、しっかりした研究テーマを練り上げるという活動をしております。ここで言いますと、ネガティブエミッションということで幾つかテーマが書いてありますが、それのコアになる部分で、どういった植物を選んでいくことが適切なのかといったところも、もう一度現状の技術水準に照らして検討していこうということでございます。

 農林水産業のところも同様でございまして、ここで先端技術を活用した超省力の生産技術体系と抽象的に書いておりますけれども、例えば施肥、肥料をどういうふうに施すのがいいのか、水の管理をどうしたらいいのかという方向に進むのか、あるいはもう少し機械的な技術の部分を注力したほうがいいのか。この分野の中で、今、注力すべき研究テーマというところの特定を関係者間で議論・整理していただいているところでございます。

 進め方としては、この6月あるいは9月までということで、一旦、めどを置いて、令和5年度、初年度の研究テーマの立ち上げを進めていくことにしておりまして、そういった中から委託で研究を受ける、実施する研究者も出てまいりますし、F-REIとして直接雇用していく研究者も出てまいります。分野長は、ある程度、その分野の大御所的な全体を見渡せる先生にお願いしますけれども、研究者は、エッジの立った研究、技術を実際に開発していただく先生方でございますので、そういった方をどういうふうにリクルートしていくか、今、そこの戦略と併せて議論しております。

 めどとして7年間で50の研究チームを設立していくという目標を昨年、掲げておりますので、初年度、5つ程度、あるいは2年度目に5から10程度ということを1つのめどにしつつ、順次、研究者を採用していくことを考えております。採用するだけではなくて、委託で研究する形もございますので、研究テーマとしては、ここに出てきますような20ないし30程度の研究が初年度から進んでいくことを想定しておりますけれども、研究者ということで言いますと、そういった数で5ないし10ということをまずは進める。そういったF-REIの研究者という形の方が出てまいりますと、それぞれの研究活動についても御紹介していくようなフェーズが来るかと思います。

 現時点では、まずはこの資料の中の3ページに出てきておりますメンバーが、実際どういうことを考えて、今、活動しているのかということを、タウンミーティングの形で地元の方と意見交換していくということを考えておりますので、6月20日、明日でございますけれども、いわき市を皮切りに、このメンバーが地元での意見交換を始める。まさに山崎理事長や理事・執行役の面々で自ら発信していくことをスタートしていく。その前段として、今、大学や学校で、このメンバーの何人かがF-REIの活動を紹介する活動は、トップセミナーということで先行的に幾つか始めておりますけれども、そういったことの両面で、まずは知っていただくという活動を展開していきたいという現状でございます。

 

○今村委員長

 ありがとうございます。現状についての御説明だと思います。

 恐らく、F-REIに関しては非常に期待が大きいので、すぐにいろいろなものができるという要望を持ってしまうものですので、ある程度のスケジュールといいましょうか、この時期にこういうものを計画するという、当初、年次計画等はあったのですが、恐らくもう少し詳細なものがないと、いろいろコミュニケーションが取りづらいのかなと思っています。ちなみに、今年、F-REIも含めて、福島の現地調査を計画していただいていると思いますので、直接、山崎理事長を始め皆さんと対話していただければと思っています。事務局、計画としてはよろしいですね。よろしいでしょうか。ありがとうございます。非常に重要なテーマでありますので、引き続き情報交換、また審議のほうを進めていきたいと思います。

 それでは、F-REI以外についても何か。

 山名委員、どうぞ。

 

○山名委員

 どうもありがとうございます。

 F-REIの件は、今のところで一旦切ってよろしいですね。

 私からは、今の資料2-1で復興の現状について、お話いただきましたが、そこの4ページ、原子力災害からの復興・再生について一言申し上げたいと思います。私ども、福島第一の廃炉を主導している立場ですが、この福島第一の廃炉は、ここに書いてあるように、国が前面に立って着実に進んでおりますが、一言で言いますと、まだこれからが本番ということになります。決して解決した問題でもなく、もちろんサイト自身は安全に維持されておりますし、きちんと管理し、長期の廃炉はしっかりと進んでいきますが、まだまだこれから本当の闘いが控えている。

 また、ALPS処理水の問題のように、いわゆる風評被害というような社会経済的・社会心理学的な影響が非常に広く広がっていく。これは福島だけではなく、宮城県や岩手県にも影響が出る可能性がありますし、外交問題にまで発展しているという側面もあるということなのですね。一方、汚染土の中間貯蔵の問題を県外で減容・再生利用等の試験をしようとしても、他県で反対活動が起こるという問題が起こっておりますし、福島の汚染土は中間貯蔵施設に運び込まれましたが、それ以外にも、汚染状況重点調査地という他の県で最終的にまだ答えが出切っていないようなところもあると聞いております。

 そういう意味で考えると、この事故が起こした影響というのは、社会経済的にも環境的にも広いわけですね。福島のために全力を尽くすのは当然ながら、これが広く影響しているということをよく我々は捉えた上で、重層的あるいは抜本的に本格的に取組を継続しなければならないと思うわけであります。そのときに、F-REIの役割もありますし、様々な移流人口の拡大等の取組も、全てが関連してくると思います。

 そういう意味で考えると、廃炉というのは、単に発電事業者が自分のためにやっているのではなくて、復興のためにやっております。次世代の我々の子孫のために正しい環境を残すために廃炉をやっている。そう考えると、廃炉も環境修復も復興も、あるいはF-REIのような研究も、実は全て一体のものである。縦に切れるものでは決してないと思っております。そういう意味で、ぜひ復興庁様のお力で、今後、廃炉も復興も研究開発も環境修復も、あるいは外交問題も、全てが手を取り合って連携していくような、大きな政府を挙げた取組に持ち込んでいただけるように、改めてお願いしたいということでございます。

 以上です。

 

○今村委員長

 貴重な御意見ありがとうございました。

 浅野委員、どうぞ。

 

○浅野委員

 浅野撚糸の浅野です。お願いします。

 まず最初に、先ほど福島の内堀知事から御説明がありました資料3-3の1ページに弊社の建物が載っておりますので、それを見ながら聞いていただいたほうがいいかなと思います。日本は今、自信をなくしているのですけれども、とんでもない資源を発見しました。それは観光資源です。その中で、もう一つ皆さんにお伝えしたいのは、私、昭和35年で、戦争を知りません。でも、昭和20年に戦後を迎えて、たった10年足らずでオリンピックに手を挙げて、実際にオリンピックをやってしまっているという、そこは世界の人たちが不思議というのか、学びたくて仕方がないということですね。では、この前、ゼレンスキーさんが広島に来られて、発言で私が一番びっくりしたのは復興という言葉。こうなりたいと。でも、それを現実に見られるのはこの3県しかないですね。

 ですから、5月10日付で福島民友さん、民報さん、両方とも1面トップです。JR東日本さんが復興ツーリズムをつくりますと。私、事務局に会ってきて、この中にJTBさん、ANAさん、JALさん、名だたる企業。全部入っています。うちも入れていただくことになりました。明日は、県の観光局長さんにお会いして、ここへの参画の仕方をどうするのか。その後、観光・物産協議会の方々と協議して、その2日後にハワイアンリゾートに行って、どう練ろうか、ここをどう生かそうかと考えています。

 それで、提案というのか、もし可能であればぜひお願いしたいのは、実は弊社、何やかんやいって、もう七十数回、テレビに出ているのです。大きなもので「カンブリア宮殿」であったり、「ガイアの夜明け」に2回出していただいたり、いろいろなものに出していただきながら知っていただいて、うちの本社のほうにも年間30万人、お客さんに来ていただいたり、タオルも素人でありながら1,500万枚、ここ10年ほどで売らせていただきました。

 岩手のニューヨーク・タイムズ、びっくりしました。すばらしいなということと、東北全体がインバウンドに乗り遅れている部分があって、すごいチャンスを私は迎えていると思っています。例えば今日、NHKのOBの方もおられるということで、「ブラタモリ」で来ていただくなら、そこに何か支援、補助金を出すとか。そんなに高くないと思うのです。そういう切り口と、インバウンド、1回入り始めたら勝ちですね。拡散しますから。そこも含めて、岩手県さんも宮城県さんのほうも、報告に観光の文言が今日あったので、福島だけではないなと思ったのですけれどもね。

 私は当初より年間300万人、交流人口があったら、必ずまちが変わるということで、その中で福島第一原発も公開していくべきだということと。中間貯蔵地を見せていただいたときに、この日本の責任の取り方とか復興のシステムというのは、日本人である私が感動するのですから、海外の方々も。日本人の魂というか、心の根源というのがあのエリアで表現できると思います。そうした交流人口を助成するような予算を、決して高くないと思うのです。ここを強調したいのです。でも、すごく効果的だと思っていますので、御検討いただければと思います。

 以上です。

 

○今村委員長

 貴重な御意見ありがとうございました。本日も交流人口、関係人口、そして定住人口の話が出ていましたので、人の交流というのは非常に重要だと思います。

 それで、時間があと少し。2分でもいいですか。では、お2人どうぞ。

 

○内堀委員

 (私も入れて)3人で。

 

○今村委員長

 3人で。では、お1人2分以内で。

 

○藤沢委員

 2点、今の観光なのですけれども、外国人観光客数が月に250万人ベースが200万人まで戻ってきたと。より重要なのは、1人当たりの消費額が、全国ですけれども、コロナの前が16万円だったのが21万円までなってきている。要は、お金を落とす方が極めて増えてきている。なので、今回の資料の中では、沿岸にどう観光客数を増やすかという観点の数字になっていましたけれども、より重要なのは額のほうだと。そういったように政策のほうも切り換えていく必要があるだろうと思ったのが1点です。

 もう一点は、移住の仕事をしていて、新しい仕事が増えると移住者がとにかく増えるというのを実感しております。もちろん被災された事業者の支援はまだ必要ですが、より大事になってくるのは、新しい仕事や新しい暮らしをどうつくっていくか。そういった点が岩手・宮城でも必要になってくると考えております。

 以上です。

 

○今村委員長

 ありがとうございます。

 戸塚委員、どうぞ。

 

○戸塚委員

 ほとんど同じなので、一瞬で終わらせたいのですけれども、1つは、復興というのも観光の大きな資源になり得ると思っているのですが、今、みちのく潮風トレイルで道路を運転していると海外の方が結構いらっしゃるということで、自然というところにすごく可能性を感じています。

 もう一つが、交流人口・関係人口みたいなところで言うと、私も10年前ぐらいから復興に携わらせていただいている中で、当時高校生で教育旅行で来たとか、大学生でインターンシップで来たとか、そういった学生が今、移住したり、大人になってから、例えば副業で関わるという新しい動きが出てきているので、そういったソフトの部分、交流人口・関係人口を増やしていくようなところに、岩手も宮城も、これからも引き続き、そういったところの御支援だったり、取組を御一緒できたらうれしいなと思っております。

 

○今村委員長

 ありがとうございます。

 それでは、内堀知事、お願いいたします。

 

○内堀委員

 混ぜていただいて、ありがとうございます。

 先ほど浅野委員、そして皆さん、藤沢委員もお話になった関係人口・交流人口を増やしていくという観点で、特に被災地、岩手・宮城・福島を含めてですが、5つの「て」をお願いできればと思います。

 1つ目の「て」は「来て」です。特に、コロナの3年間でリアルの動きが少なかった。だから、多くの方に来ていただくこと。

 そして、2つ目が「見て」です。来られたら自分の目で見ますね。浅野撚糸の工場にも行く。実際に現地に行って見ていただくこと。

 そして、先ほど山﨑委員からお話があったのですが、3つ目は「聞いて」なのです。多くの被災地の住民の皆さんとぜひお話しをして、傾聴、話を聞いていただければうれしい。

 そして、4つ目は皆さんも大好きな「食べて」。実際に宮城に行って、岩手に行って、福島に行って、その地域の食を食べる。渡辺大臣はとても好きで、よく食べていただいていますが、ぜひ食べていただいて笑顔になっていただくことが、被災地の最高の応援になります。

 そして、最後、5つ目の「て」は、ファンになって、応援していただくという意味ですね。応援していただいて、頑張ってね、我々、見ているよと。福島は特に長い戦いが続くので、皆さんから頑張れと応援していただくだけで、我々のモチベーションは変わるのですね。

 なので、「来て」「見て」「聞いて」「食べて」「応援して」。この「て」をぜひ多くの方に、復興庁の皆さんのお力も借りながら、福島県も頑張って、インバウンドも含めて広げていきたいと思います。ありがとうございます。

 

○今村委員長

 ありがとうございます。議論が非常に盛り上がってしまったのですが、すみません、時間の都合でこのあたりで終了としたいと思います。

 我々、社会でおこっている風を感じなければいけないですね。今、追い風だと思います。ぜひ交流関係人口、そして最後は定住人口という形で、この復興という1つの姿を議論して推進できればと思います。

 それでは、最後に本日の議論を踏まえまして、渡辺大臣から一言御発言をいただきたいと思います。

 

○渡辺大臣

 今日は一言では収まらないような状態でございまして、実は、先ほど午前中には、ウクライナの復興担当の大臣がお見えになりまして、日本のこの復興庁の取組について、ぜひとも学ばせてくれということでございました。そこで覚書を締結し、今までの記憶と教訓、ノウハウ集の英訳版ができました。それを贈呈させていただいたということで、これから復興ということの国際化の第一歩がまさに進んだなと私は思っております。

 こういったことを踏まえまして、被災地の皆さん方の様々な課題について、これからも真摯にこのような形で議論していただくと、より良い方向に私は進んでいけると思いますし、まずは人が来ないと物事は進まないということも当たり前でありますので、先ほどの内堀知事の5つの「て」ではありませんけれども、現地に行っていただく。そして、そこでその良さを知っていただくことも大変重要なことであります。

 そのために、ぜひとも我々は多くの課題、今、それぞれの委員の皆さん方からいただいた課題については、真摯に取り組んでまいりたいと思っております。とりわけ予算の確保というのは大変重要なことだと思っておりますし、こういった視点を踏まえまして、さらに復興をなし遂げていけるように全力で取り組んでまいりたいと思いますので、今日は本当に貴重な御意見を賜りましたこと、心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

 

○今村委員長

 渡辺大臣、大変ありがとうございます。

 今日、議論で出せなかったものに関しては、また事務局のほうにお寄せいただきたいと思います。また、現地調査がございますので、そこでまた熱心に御議論いただきたいと思います。

 本日の議事要旨は速やかに公表いたします。議事録に関しては、1か月をめどに作成・公表いたしますので、委員の皆様は議事録の確認にぜひ御協力いただきたいと思います。

 以上をもちまして、第42回復興推進委員会を終了いたします。大変ありがとうございました。

ページの先頭へ