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根本復興大臣の会見[平成26年5月13日]

根本復興大臣記者会見録(平成26年5月13日(火)10:16~10:31 於)記者会見室)

1.発言要旨
  私の方から2点申し上げます。
  まずは、「住まいの復興工程表」の公表についてであります。
  四半期に一回公表している「住まいの復興工程表」について、この度、平成26年度3月末現在のデータに基づく更新作業が完了しましたので、公表します。今回の更新は、発災から丸3年を経過した節目にあたります。今回のポイントですが、まず、福島県の災害公営住宅について、「原発避難者向け」と「津波・地震被害者向け」の2つに分けて記載しました。これは、原発避難者向けの災害公営住宅の計画が具体化してきたことを受け、より詳細な情報を提供することで、明確な見通しを持っていただけるようにするためです。原発避難者向けの災害公営住宅については、調整中のものも含め、計画されている4,890戸すべてを記載しております。
また、福島県の津波・地震被害者向けの災害公営住宅については、あくまで現在計画中のものに限りますが、集中復興期間である平成27年度までに約9割が整備される計画となっております。これは、福島第一原子力発電所の事故の影響により、未だ避難指示が継続するなど、困難な状況にある福島県においても、復興に向けて一歩一歩前進しつつあるということです。
次に、防災集団移転促進事業や土地区画整理事業などの面整備事業で供給される民間住宅等用宅地の供給予定戸数について、前回と比較して約200戸減少いたしました。これまで被災自治体において、事業着工前に住民意向を再確認し、必要な供給戸数の精査を進めていただいた結果、この1年間の工程表の更新の度ごとに1,000戸規模で減少していましたが、大半の地区で着工段階に入り、新規着工地区が減少したため減少幅が縮小し、安定に向かう兆しが伺えます。現在、防災集団移転促進事業では9割、土地区画整理事業でも7割の地区で着工段階に入っており、面整備事業についても、地域の実情を踏まえた熟度の向上が図られた結果だと受け止めています。「住まいの復興工程表」は、被災者の方に地区単位の詳細な工程表や住宅・宅地の個数ベースでの供給目標をお示しすることで、生活再建への見通しを持っていただくとともに、その時々の住宅再建・まちづくり事業の進捗状況をチェックする役割を持っています。災害公営住宅、民間住宅等用宅地ともに、平成26年度から27年度にかけて供給のピークを迎えます。これまでも関係省庁の協力のもと、用地取得や施工確保の課題などに対して、加速化措置を4度にわたり打ち出してきました。被災地の復興に向け、新たなステージに入っていく中で、今後生じ得る課題に対しても、徹底した現場主義の下、事業上の隘路を迅速に把握し、タスクフォースなどを活用して、実効性のある措置を適切に講じつつ、さらに事業の加速化を図ってまいります。
 次に、スペイン・ノルウェー訪問の成果についてであります。
 5月4日から10日にかけて、「新しい東北」の創造に向けた取組の参考となる先進的な事業についての意見交換などのため、スペイン及びノルウェーの2カ国を訪問しました。
 スペインではマラガ市を訪問し、同市において、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構が行っている電気自動車の実証実験や、同市の再生エネルギー関連施設を視察し、デ・ラ・トーレ・マラガ市長と、環境や省エネルギー・再生エネルギー分野における同市の取組につき意見交換をしました。
 ノルウェーでは、アスパーケル漁業大臣と会談したほか、オーレスン市、ハロイ市を訪問し、水産加工技術の最先端の現場などを視察し、トンメンダール・オーレスン市長ほか関係者と意見交換を行いました。また、ノルウェー放射線防護庁を訪問し、ハルビッツ同庁長官他より、同庁のこれまでの取組内容などにつき聴取しました。また、震災復興にあたっての子どものケアの参考とすべく、病院の視察及びリンドボー児童担当オンブズマンとの意見交換を行いました。さらに、この機会に、オスロ大学で、東日本大震災からの復興の現状と取組について講演を行いました。
以上を通じ、東日本大震災からの復興において、復興の加速化とともに最重要課題と位置づけられている「新しい東北」の創造に向けた政策策定の参考となる知見や情報を収集し、我が国の復興の取組を発信することができたと考えています。
私の方からは以上です。

2.質疑応答
(問)昨日の話なのですが、ある雑誌で、福島県のことについての記述があったわけですけれども、その部分について、いろいろな批判とかがあるのですけれども、その中で、一つの登場人物が言っている言葉がありまして、双葉町の避難者の方が、埼玉の高校に避難している場面を描きながら、「あの人たちの平和な生活を奪った東電と国は、あの方たちと人の良さ、我慢強さをいいことに何の責任も取っていない」という台詞があります。鼻血を出しているとか福島に住めないとか、そういうことが注目されて批判があるわけですけれども、実はこの言葉が一番注目しなければならないのではないかと思います。
  まず、東日本大震災の原発事故のほうは長い時間がかかるのは分かっているのですけれども、やはり3年を過ぎてもなかなか復興できないという状況自体が、こういう漫画の表現を生んでいるのではないかと思います。小学館とか、いわゆる漫画原作者をバッシングする以外にも、やはり政府、国、東電というのは、復興を早めること自体が風評被害を防ぐというメッセージを出すべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
(答)そのために私は、復興加速を進めております。今回の安倍内閣は、日本経済再生、復興加速、そして危機管理、これを最重点課題に制定し、そして全閣僚が復興大臣という意識を共有して、復興大臣の司令塔機能で復興を加速する、これが安倍内閣の大方針ですから、まさに我々は、福島の一日も早い復興に向けて全力で取り組んでおります。
(問)関連なのですけれども、今回の漫画の件で、大臣はどのようにお考えなのかということを教えていただけますか。あとは、政府として何か対応されることはあるのかということを。
(答)漫画「美味しんぼ」において、福島の原子力事故による影響に関する内容、今のお話ですが、私も事務方から報告を受けて拝見しました。
本件については、環境省が先週、福島第一原発事故の放射線被ばくが原因で、住民に鼻血が多発しているとは考えられない。これが政府の見解です。双葉町も、福島県全体にとって許しがたい風評被害を生じさせている、福島県民への差別を助長されることになると出版社に対して厳重に抗議をしたと承知しておりますし、また福島県も同様の趣旨で見解を発表しています。地元の住民の方々の心情に鑑みれば、漫画とはいえ、このような地元の方々の不安や風評被害を招きかねない内容が描写されていると、私は誠に遺憾なことと言わざるを得ません。
復興庁としての大事なのは、今後とも関係省庁や関係自治体の連携を密にしながら、引き続き健康不安や風評被害を払拭するため、健康管理やリスクコミュニケーション、この政策をしっかりと進めていきたいと思います。
(問)関連なのですけれども、今回のこういう意見でいうと、リスクコミュニケーションという、いかにも難しいなということも感じざるを得ないところもあると思うのですけれども、この漫画はかなり影響力がある中で、それを読んで「これが正しいんじゃないかな」と思う人もかなりいると思われますが、そういうものに対して、きちんとしたリスクコミュニケーションというのは、どういうふうに行っていくべきだというふうに。
(答)放射線による健康影響に対する考え方は、個々人によって異なるのですね。そして、私も今申し上げましたが、地元住民の心情に鑑みれば、多くの方々が違和感を感じ、すでに様々な抗議がなされていて、こういう事態となったこと、誠に残念だと、遺憾に思います。ただ、いずれにしても、このような問題については、私も度々申し上げておりますから、科学的・国際的な知見・情報の共有が必要、有用だと思います。
  環境省は、例えば今回、こうしたことを踏まえて、福島第一原発事故の放射線被ばくが原因で、住民に鼻血が多発しているとは考えられない、という見解を公表しましたが、その意味で、放射線リスクに関する科学的・専門的な知識・認識が大事だと思います。この意味では、放射線に関する基礎的情報は、科学的・専門的な知見あるいは客観的な事実はこうですよ、ということを関係省庁、政府が一体となってまとめさせていただきました。これらを踏まえながら、やはり大事なのは、丁寧にリスクコミュニケーションを図っていくと。これが私は、何よりも近道だと思います。
(問)大臣の発言に戻ってしまうのですが、海外視察でノルウェーを視察されたとのことですが、チェルノブイリ原発事故では、やはり、ウクライナ、ロシア、ベラルーシの情勢が注目されますが、ノルウェーもその当時の気象によってかなり影響を受けた国だと思われます。その中での子育て。児童館を視察されたということですが、何か今後の東北の復興に、恐らくこの国で何か参考になる部分はございましたでしょうか。
(答)子育てについては、公立病院において、例えば、病院に入院する子供たちのための教育を病院で行っていました。私は、これは非常に前々から必要だなと思って取り組んでいるところもありますが、病院に入院している子どもたちの教育を病院でやる、そういうことも大事だと思いましたし、院内保育施設も訪問しました。それと、子どもたちの病室も見させていただきましたが、非常によく考えられた病室だったし、低体重で出産された子どもたちの親とも、ちょっと話しましたけど、非常に子どもの心と体のケアを大事にやっているのがノルウェーだなと思いました。それと、リンドボー児童オンブズマン、これは実は閣僚級の方ですが、その方とも、子どもの心と体のケアが大事だということについても意見交換をさせていただきました。
  その意味では、やはりノルウェーというのは、北欧3国がすべてそうですが、非常に社会保障が充実した地域だと思います。それから、あそこでは、病院の中で、青少年の委員会があって、そして病院の様々なことについて意見を。私が会ったのは高校生ぐらいの子どもの代表ですけど。自分たちの頭で考えて提言していくという生徒たちともお話をしましたが、その意味では、非常に子育てを含めて、子どものための施策が充実している国だと思いました。

 

(以    上)

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