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平野復興大臣の会見[平成24年11月27日]

平野復興大臣記者会見録(平成24年11月27日(火)10:40~11:08 於:復興庁記者会見室)

1.発言要旨
 おはようございます。今日は報告が2つあります。
 第1点目は、第4回復興推進会議の開催についてです。
 本日、閣議後に第4回復興推進会議が開催されました。この会議では、お手元の「今後の復興関連予算に関する基本的な考え方」などが取り上げられ、今後の復興関連予算の計上の考え方、今年度予算等の復興予算の執行停止、復興基本方針の見直し等について、政府としての対応を具体的に決定しました。 若干かいつまんでお話をさせていただきますと、「今後の復興関連予算に関する基本的な考え方」ですけれども、お手元の資料の「1.今後の復興関連予算の計上の考え方」として、「東日本大震災からの復興の基本方針」において、国は次の施策を実施することとされているということで(イ)、(ロ)、(ハ)という基本的な考え方、枠組みをここで明示しています。今回の考え方は、この中では、(ロ)及び(ハ)に掲げる施策については原則として東日本大震災復興特別会計には計上しない、(イ)に掲げる施策のみを計上するという方針が決められています。
 さらに、この(イ)については、例えば「1.」に書いていますけれども、「被災地向け予算に該当するかどうかについては、東日本大震災の発災前から予算が措置されていないか、あるいは計画・構想が検討・策定されていないか等の点を踏まえ、復興庁、財務省及び関係府省の間で、事業ごとに厳格に整理するものとする。」つまり、毎年度予算に計上されていて、23年度、24年度からこちらに持ってきたというものについては、その効果を検証しながら、本当に被災地の復旧・復興に資するものかどうかといったことについて、きちんと検証しながら来年度予算の編成をするということですし、後で少し申し上げますけれども、執行停止ということについても、こういった観点から整理をさせていただいているということです。
 それから、全国向け予算というのは、定義が1ページ目に書いてあり、後で読んでいただきたいと思いますが、次に掲げるものを除いて計上しないということであり、まず1点目は、「巨大津波による被害を受けて新たに認識された技術上の課題に対応するための公共事業であって、大規模地震の対象地域において、東日本大震災の最大の教訓である素早い避難の確保を後押しする観点から実施され、集中復興期間中に完了するもの」。集中復興期間中に完了するものですから、工期が長くかかるものについては該当しないということです。具体的には、河川の津波遡上対策、海岸堤防・防波堤の粘り強い構造の確保ということで、それが耐震対策です。
 ここについては、東日本大震災での海岸堤防、湾口防波堤。これは第一波、第二波のどこかで倒れています。もし、あの堤防が倒れなければ、これは前にもお話ししたかもしれませんけれども、津波は第二波、第三波、第四波と来ていますから、堤防が倒れているのと倒れていないのとでは、津波として陸地に上がってくる水の量が違います。つまり、想像していただければわかると思いますが、堤防が立っていますと、第三波、第四波が来たとしても、これがいわゆる潜り堤、潜堤みたいな形になりまして、水が来たときに、堤防のある部分はとめられます。ところが今回は、湾口防波堤もそうなのですけれども、倒れてしまった。倒れてしまったがために、第一波、第二波は恐らくある程度の効果はあったと思いますが、第三波が来たときにはもうほとんど堤防がない状態の中で津波を受けざるを得なかったということですから、これから東南海の三連動、四連動等を考えるときに、高い堤防をつくるということについては、お金もかかりますし、時間もかかります。そのためにはL1堤防というよりはL2、高い津波が来たときにも倒れない-残念ながら越波してくるかもしれませんけれども-倒れない堤防をつくることで、津波の到達する地域、範囲が限定されますから、それによって被害も軽減されると同時に、地震即避難ということが今回の東日本大震災の大教訓ですけれども、避難にも資することができるという、そういう考え方です。
 水門等の自動化・遠隔操作については、御案内のとおり、皆さん避難する中で、ある一団は海の方に向かった。消防団ですけれども、あるいは警察の方々ですけれども、特に水門の閉め切りに向かった消防団の方々が大変犠牲になっているということがあり、こういう中での水門の自動化・遠隔操作です。
 高台道路への避難階段の付加等。こういった避難路の確保をこの中に入れているということです。 もう一つは、「子どもの安全確保に係る学校の耐震化事業であって、耐震強度や速効性などに照らし特に緊要性の高いもの」ということで、これは引き続き東日本大震災復興特別会計で計上して事業を実施するということになります。 ただし、全国向け予算であっても、東日本大震災復興特別会計に属する既往の国庫債務負担行為に基づき既に契約された事業の各年度における歳出化経費については、契約の法的安定性を確保する観点から、経過措置として、引き続き東日本大震災復興特別会計に計上するというのもやむを得ないということになっています。
 もとに戻りますけれども、1ページ目、全国向け予算については、平成25年度分の財源については、何らかの形で一般会計からの繰り入れを行うことにより対応する方向で、今後検討を行うということであり、これらの全国向け予算については、一般会計を繰り入れすることによって、それを財源として実施するということを前提として、これから検討を進めてまいるということです。
 4番ですけれども、「以上の取り扱いに伴い、東日本大震災復興特別会計に計上しない予算については、一般会計に計上することを否定するものではないが、その場合には、国会や行政刷新会議「新仕分け」の議論等を踏まえ、所要の見直しが行われることを前提」としています。なお、「東日本大震災からの復興の基本方針」については、上記の考え方を反映させる必要があるということ等、被災地の状況の変化などを踏まえ、必要な見直しの作業に着手していますが、平成25年度の予算編成と併せて作業を行い、来年度の予算の概要が決まった段階で併せて公表したいと思っています。
 復興予算の執行についてですけれども、平成23年度第3次補正予算及び平成24年度予算において措置した復興関連予算に係る事業のうち別紙の事業については執行停止をするということで、この考え方は、既に執行したもの、あるいは執行しなくても、その地方負担分について既に自治体の議会で議決しているものを除いて、いわゆる執行済みでないものということになるわけですけれども、その中から、先ほど申し上げたような基準に該当する予算については執行停止をお願いした結果、ほとんどの部分が大体執行済みと整理されているのですけれども、残った部分から168億円を執行停止するということで、今回整理をさせていただいたところです。
 ここに計上された予算については、最終的には予算編成過程で決断されることですけれども、来年度予算でもまだ要望されているということであれば、一般会計のほうに移っていただくことが基本になると思います。さらに、既に基準に該当しているのですけれども執行済みの予算というものも幾つかあり、こういった予算についてはこれから、当初は大丈夫と思って予算をつけたと各府省は主張しているわけですけれども、その効果を検証しながら、来年度予算をどうするかということは判断されるべきものだと思いますが、この基準に沿って整理されるもの、特に一般会計に移るもの、あるいは予算をつけないものというのは、ある程度の額で出てくるのではないかと思っています。私としては、来年度予算の決定の段階で一回、来年度予算の中で一般会計に移ったものと、どういう予算で、これはどういう考え方で移ったのかということについての整理は必要だと思っています。
 もう一つ、今日の復興推進会議で、事故繰越手続きの簡素化について、各大臣に、被災地の現状を踏まえ柔軟に対応していただくようお願いをしました。お手元のとおり、23年度補正予算で措置された事業について、繰越事由を記載する理由書の様式の大幅な簡略化、申請時の資料の添付や財務局ヒアリングの全廃を行うことを合意しています。
 御案内のとおり、明許繰越は普通認められるのですけれども、さらにもう一回繰越をするという事故繰越については、原則これは認めない。認めるにしても、かなり理由づけが必要だということで、審査も厳格に行っているというのが今までのやり方ですが、今回は、さまざまな予算、必ずしも何月何日まで実施できるということを一件一件チェックして予算を配分していたのではとても間に合わないということで、そういったことについては自治体に任せるという形で、まず予算をつけて、自治体全体としての復興に向けての予算確保という一つの安心感があるので、そういった環境をつくるということで予算をつけさせていただいています。 結果として、用地交渉の問題等があり、必ずしも当初の想定されたとおりの執行ができないということで、これを不用として、また新たに予算を措置するというのは大変ですから、今回は原則事故繰越を認める。その事故繰越については、大幅な簡素化をするということで、その考え方をお手元のペーパーに示しています。
 まず、繰越理由書ですけれども、必要最低限の事項を記載する簡易な様式を作成して、1枚で全てを完結させます。事由については、詳細に書くのではなく、定型例を書き、そこから選べばいいというような形で配慮するということです。添付資料については全廃します。事業概要、工程表、図面、契約書といった書類等の添付を全廃します。財務局ヒアリングを今までしっかりやってきたのですが、これもやらないということで、基本的に当初の予算の考え方、予算をつけたときの考え方を尊重してやるということで、事故繰越を認めるということです。
 野田総理からは、「今後の復興関連予算に関する基本的な考え方に沿って、しっかりと作業を進めていただきたい。」旨の御発言や、「事故繰越手続の簡素化については、被災地の立場に立って速やかに進めていただきたい。」旨の御発言がありました。 これが第1点目です。
 第2点目ですけれども、これは東日本大震災総括担当大臣としての発言になります。東京電力福島第一原子力発電所事故における避難実態調査の準備会合の開催についてです。29日(木)、「東京電力福島第一原子力発電所事故における避難実態調査に関する準備会合」を開催します。避難の実態についての調査は、私は必ずしも十分ではないと思っており、これについては十分な調査設計をして、そして十分時間をかけて調査をして、報告書をまとめていただくことが大事だとに思っています。そのための準備会合を、今週の木曜日に開催します。田中淳東京大学教授を中心に議論をしていただく予定です。
 ちなみに、田中淳東京大学教授は、中央防災会議防災対策推進検討会議の津波避難対策検討ワーキンググループの主査でもあり、津波に関してのさまざまな実態調査にもかかわっていただいた学識経験者です。 私からの報告は以上のとおりです。

2.質疑応答
(問)まず確認なのですが、2ページ目の2の津波と学校の耐震化、それから3ページ目の3、これらは復興特別会計には計上するけれども、財源は一般会計ということでいいですか。財源が一般会計ですと、会計は総取っかえですと、そういう分け方をされるのは何ででしょうか。一般会計を財源とするなら一般会計に計上すればいいものと思いますし、復興財源を財源とするのだったら特別会計に計上すればいいような気がするのですけれども、こう分けるのはなぜでしょうか。
(答)まず、1問目、2問目とも、これは全国防災という範疇に、2の(1)、(2)とも全国防災の範疇に属するものです。この全国防災については、当初、1兆円ということで想定したのですが、2兆円を既に使ってしまっているという中で、来年度の要求もかなりの額が出てきて、それを大きく絞り込んでまいります。そのときに、やはり全国防災という枠組みは残しつつ、こういう考え方で東日本大震災復興特別会計に計上するということであり、一方、財源については、既に2兆円も使っていますから、これ以上復興財源を与えるということについては、これは差し控えなくてはならないということで、こういう考え方でやっているということです。特に全国防災という考え方は、繰り返しになりますけれども、東日本大震災の教訓を踏まえて事業をやるという考え方ですが、この考え方は東日本大震災復興特別会計に計上するということで、これを残すということで、こういう整理をさせていただいているということです。

(問)確認ですが、こういう学校の耐震化などは19兆円の枠外になるということでいいですね。
(答)今後は、そういう形で考えています。 それからもう一つは、3問目については、これはものによっては国庫債務負担行為でやっている、契約しているものもあり、これは一般会計に戻すといっても、なかなか手続上面倒なものがあります。先ほど言いましたように、契約の法的安定性という言葉を使いましたけれども、そういったことをやるよりは、このまま残しながら、その部分については一般会計から繰り入れるという整理をしているということです。

(問)もう1点。また予算のことなのですが、こういう厳しい整理をされたことで、来年度の概算要求、3兆円とか4兆円とかだったと思いますが、これはどれぐらいできそうかという見通しはいかがでしょうか。
(答)これは、今予算編成の作業中ですから、まだ皆さんに報告できる段階には至っていないと思います。ただ、今回の指摘等を踏まえ、特に全国防災等については既に2兆円も使っているということですが、一般会計の全体の枠もそんなに余裕があるわけではありませんから、かなりの絞り込みは必要だと個人的には感じています。

(問)予算の関連なのですけれども、結局、23年度補正予算及び24年度予算の中で執行停止が35事業の168億円。予算規模に比べると一部にとどまっているかとは思うのですけれども、これに対しての復興大臣としての評価をもう一度お願いしたいのですが。(答)いろいろ各府省にも無理を言って積み上げた結果がこの数字だということで、評価は皆さん方にお任せしたいと思います。 それからあと、各種メディアにおいてさまざまな懸念をいただいた事業等があったかと思います。そういったものについて、もう既に執行済みというもので、この中に出ていないものもありますが、繰り返しになりますけれども、先ほど言った(イ)、(ロ)、(ハ)、それから(イ)の中でも、これまで予算計上があったかないか、その効果等を検証しながら、来年度予算の中でつけるかどうかということは決まってきますので、予算決定の段階で、今まで疑義があったものについての整理は当然なされるものだと思っています。

(問)1点確認なのですが、基本方針の見直しについて、これは昨年の7月29日に閣議決定したものですが、今回見直す予算編成と併せて見直すということですが、見直しというのもまた閣議決定をすることになるのでしょうか。(答)基本方針は、東日本大震災復興対策本部決定になります。

(問)では、また復興推進会議を開いて、そこで決定するということでしょうか。
(答)そういうことです。

(問)繰越のほうですけれども、この表題だと、手続の簡素化となっているのですけれども、実質は、事故繰越は原則認めますよということでしょうか。
(答)原則認めます。認めて、しかもペーパー1枚でオーケーするという。今までの考え方からすれば、手前みそになりますけれども、かなり大胆な手続になっています。

(問)明許繰越と同じ理由では事故繰越できないとか、細かく決まっていると思いますけれども、基本的には事故繰越を認めるということでしょうか。
(答)原則認めるということです。明許繰越というのは1回。当該年度の予算によって次の予算に繰り越しをする場合には明許繰越ということで、これについてもかなりの手続の簡素化をしているのですが、事故繰越は、さらにもう一回というところは、普通は予算をつけるときは実施年度を見ながら予算をつけ、予算単年度主義ではないですけれども、予算をつけたものについては当該年度で執行する、最低でも次の年には執行するというのが原則ですが、今回は原則事故繰越を認め、手続についてはこのような形で、大幅に簡素化をするということです。

(問)関連ですが、11年度の補正予算で明許繰越になったというのは6兆円ほどあったと思うのですが、事故繰越の見通しなどは立っているのでしょうか、幾らぐらいになりそうだとか。
(答)今年度予算に4.8兆円繰り越されていますが、今年度中に執行される予算が少なからずあります。具体的な見通しはまだありませんが、相当少なくなると思います。

(問)結局あの見直しをした結果、168億円が執行停止になるわけですけれども、そのお金はどうなるのでしょうか。
(答)このお金につきましては、基本的には不用という形で整理をされ、東日本大震災復興特別会計に戻ってくるということになると思います。
 もう1点申し上げますと、執行停止した予算は、財源として使うというのには合わないということですが、その一方で、国の施策として実施するということについては必要な予算でもあります。そういった意味で、補正予算のことはまだ決まっていませんが、今後何らかの形で、これはいったんやるというふうに決めた事業でもありますから、一般財源等が手当されれば、措置されるものも十分あり得るということです。これはあくまで一般財源、一般会計での予算ということで、財源が確保されればという前提ですけれども。

(問)あともう1点なのですけれども、この168億円を、各府省の協力というか、そういう議論の中で出たというのは一つ先ほど評価されましたけれども、結局、復興予算は、何なんだと考えて、この(イ)、(ロ)、(ハ)で、(ロ)と(ハ)は計上しないのが妥当であろうという判断になったわけですけれども、では、これまでの対応で、この(ロ)、(ハ)に該当するものも使ってしまったものがあるわけです。それについて、政府はどのように総括するのですか。
(答)基本的には復興予算、いわゆる被災地の予算に不足が生じないということが大原則です。それから、ここは政府内でさまざまな議論があるのですが、今まで使った予算については、それぞれの考え方で予算計上をさせていただいたということであり、ただ、最終的にこういう考え方で、執行停止するものは執行停止させていただいたということです。
 繰り返しになりますけれども、こういった形で復興の財源が使われていますが、その結果として被災地の予算に不足が生じることがあってはならないということは、担当大臣として何回も何回も申し上げたとおりであり、19兆円全体のフレームの見直しも、今同時並行的にやっています。被災地の災害査定なども終わっておりますし、必要な予算の姿もおおむね見えています。福島についてはまだもう少し不確的要素のものも若干ありますが、そういった全体の枠組みと、これまで使った予算とを見ながら、必要な予算についてはどういう形かでしっかり確保するということで、繰り返しになりますけれども、被災地の予算については影響出ないようにするということが基本です。
 誤解があるといけませんが、再三申し上げておりますけれども、今回の場合は予算として、国のお金を使うか、一般論として使うか、使わないかということの事業査定をしているわけではありません。財源としての使い道です。財源を、要するに先に使ってしまったことによって、繰り返しになりますけれども、復旧・復興に支障が出るようなことがあってはならないというのは、これは政府の責任であり、政治の責任ですから、そこの部分はしっかり確保するということです。

(以    上)

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