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田中復興大臣退任記者会見録[令和02年09月16日]

 (令和2年9月16日(水)11:30~11:49 於)復興庁6階記者会見室)


1.発言要旨
  おはようございます。皆様には在任中大変お世話になりましたことを、まず感謝御礼を申し上げる次第でございます。
 先ほど、閣議で辞表を提出いたしてまいりました。この機会に改めて所感を申し上げます。
 昨年の9月11日の就任に際しまして、安倍総理からは、「被災地に寄り添いながら、各省庁の縦割りを排し、現場主義に徹したきめ細かな対応によって、被災地復興のさらなる加速化に向け全力で取り組む」よう御指示をいただきました。
 本日、内閣総辞職に当たっての安倍総理大臣の談話がありましたけれども、その中で安倍総理自身、冒頭に「福島の復興なくして東北の復興なし。東北の復興なくして日本の再生なし。その思いで政権発足以来、東日本大震災からの復興に全力で取り組んできました」、このようにお言葉がございました。私も、改めて安倍総理の最期の締めの御挨拶で、この言葉があったということは、非常に重い、このように思って、皆様方に改めて御紹介をする次第でございます。
 以上の指示を踏まえて、在任中は「現場主義の徹底」を胸に刻んで、延べ35回にわたる被災6県53市町村への訪問や、関連行事への出席等を通じて、被災された方や支援いただいている方の声を、直接伺ってまいったところでございます。
このような訪問を通して、地震・津波被災地域では、住まいの再建・復興・まちづくりが概ね完了するなど、復興の「総仕上げ」の段階に入っていることを確認いたしたところであります。
 また、原子力災害の被災地域においては、帰還困難区域を除く全ての地域で避難指示が解除され、「福島イノベーション・コースト構想」の中核をなす施設であります、「福島ロボットテストフィールド」が全面開所となるなど、復興・再生が本格的に始まっていることも実感しています。
 こうした状況を踏まえて、被災地の一日も早い復興に向けて、さまざまな施策に全力で取り組んでまいりましたが、中でも私が特に力を入れてきた取り組みについて、3点申し上げたいと存じます。
 1点目は、「復興・創生期間」後の復興の方針を示し、新たな期間に向けた準備を進めたことでございます。発災から10年の節目に向けて、有識者のワーキンググループにおいて、復興施策の総括について御議論をいただき、昨年12月には「復興・創生期間」後の基本方針を決定して、これまでの復興施策の成果だとか課題等を総括した上で、各分野の取り組み等の方針をお示ししました。また、本年6月の復興庁設置法等の改正により、復興庁の設置期間が10年延長され、さらに本年7月には、令和3年度以降の5年間を「第2期復興・創生期間」と位置づけ、新たな復興財源フレームをお示しいたしました。これらを通じて、令和3年度以降の復興に万全を期するよう取り組んでまいりました。
 2点目は、魅力ある浜通り地域を創出するための国際教育研究拠点について検討を進めてまいりました。
福島浜通り地域における新産業の創出や、人材育成のための国際教育研究拠点の構築について、渡辺前大臣が設置された有識者会議により、本年6月に最終取りまとめをいただき、今後年内をめどに成案を得られるよう、復興庁が中心となり検討を開始しました。
 3点目は、根強く残る風評の払拭に向けて、私自身が先頭に立って取り組んでまいりました。昨年9月の就任以来、各国在京大使館等との意見交換、海外メディアに向けたオリ・パラ大会をPRする「ワールドプレスブリーフィング」の出席、被災地ツアーに参加した中国メディア関係者との意見交換など、さまざまな機会を捉えて、積極的な情報発信に努めてまいりました。
 一方で、令和3年度以降に向けて、引き続き課題が残されております。
地震・津波被災地域においては、第2期復興・創生期間において、心のケア等の被災者支援を始めとする、残された事業に全力で取り組むことが必要であります。また、原子力災害被災地域においては、帰還に向けた生活環境の整備、「特定復興再生拠点区域」の整備、「福島イノベーション・コースト構想」の推進や、風評の払拭等の取り組みについて、引き続き継続していく必要がございます。加えて、本年7月の復興推進会議にてお示しいたしました、移住の促進や国際教育研究拠点の構築、営農再開の加速化等の令和3年度以降に向けた検討課題について、施策の具体化に取り組む必要がございます。
 東日本大震災の発災から10年の節目に向けて、残すところ6カ月となりました。新大臣の下でも、「第1期復興・創生期間」の最終年度に全力を尽くすとともに、復興・創生期間後の基本方針に基づき、「第2期復興・創生期間」に向けた準備を着実に整え、新たな期間の復興に万全を期していただきたいと思っております。
 また、来年の夏に延期となっております、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、引き続き「復興五輪」として、被災地などと連携をしっかりとしていただき、情報発信などの取り組みを進めることを期待いたしたいと存じます。
 今後とも復興庁は「現場主義」を徹底し、残された課題と向き合って、復興を加速していくことを期待するとともに、私自身も一人の政治家として、被災地、あるいは被災者の皆々様に寄り添って、復興が成し遂げられるよう、引き続き尽力をしてまいりたいと思っております。
 本当に記者の皆様方にもお世話になりました。また、本当に無力でありましたけれども、被災地の皆様方にもお世話になって、このような職務を全うすることができました。心から重ねて感謝御礼を申し上げつつ、何度も申し上げておりますように、総理の今日最後の御言葉、「福島の復興なくして東北の復興なし。東北の復興なくして日本の再生なし」、この思いをもって、政治家としても今後とも努力することをお誓いして、御挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

2.質疑応答
(問)大臣、1年間お疲れ様でした。大変お世話になりました。
 今年の3月以降は、新型コロナウイルスの感染拡大がございまして、現場主義をとりたくても、なかなか被災地に入れないという、もどかしい思いをしていらっしゃったと思いますが、3月以降、被災地との向き合い方について御所見を伺えればと思います。
(答)本当に新型コロナウイルスの件は、今考えても本当に残念ですし、予期できなかったことでございます。私自身も、実は1月早々にせきが出る、少し熱も出る、風邪の症状があったものですから、総理からも心配されたことがございました。その後コロナウイルスがずっと広がっていったときに、私自身もいろんな方たちとお目にかかるものですから、本当にかかっているのではないかという心配もあったわけでございまして、少し落ち着いて、抗体検査などをやったわけでございますが、陰性であったわけでございます。ほっとすると同時に、本当に被災地の皆様方にも、特に岩手県はコロナウイルスにかかった方ゼロが続いたわけでございまして、こちらからお伺いすることが本当にはばかられたわけでございまして、いろんなことに大きな影響があったということは事実でございました。私自身も本当に残念に思ったところでございます。
 もう一つは、風評払拭のために、ゴールデンウイーク辺りで、外国、とりわけ東南アジアで、何か水産物や農作物の食品のフェアをやろうということで予定しておったわけでございます。こういうこともできなかったわけでございまして、本当に残念でございます。
 ただ、この新型コロナウイルス感染症のことは、今後、もうウィズコロナとかポストコロナという言葉がございますように、これは避けて通れないことでございまして、現実の話でございますので、今後の復興庁の日々の活動の中で、あるいは被災地の今後の復興・再生の中で、ぜひ一つ、十分生かしていく、これを乗り越えていく、このことを大臣を経験した者の一人として、特にお願い申し上げたいと思っております。
 以上でございます。
(問)1年間お疲れ様でした。
 これまでに延べ35回、被災地のほうに入られたということだったんですけれども、大臣として印象に残っている現場ですとか、もしくは被災者の方、支援者の方から聞いたお話で、印象に残っている話などあれば教えてください。
(答)やはり実際避難をされた方々が、ふるさとを離れて、お住まいになっておられる住宅等を訪問させていただいて、実際にいろんな課題をお話しいただいたということがございます。実際に、10年近くはたつ今日、ふるさとを本当に離れざるを得なかった福島第一原発の事故、そしてあの東日本大震災の大変な津波、地震、こういうことによって、本当にふるさとに住めなくなった。特に原発事故は大きなことが起こったわけでございまして、大変な御迷惑をおかけしたわけでございまして、こういうことを、改めて私は政治家として、本当に責任を感ずると同時に、何としても今後復興に力を尽くしていかなきゃいけないと。お一人になって、本当に大変な思いを持って生活をしてらっしゃる方々もいらっしゃるわけでございますので、そういう皆さんとお目にかかって、お話を聞いて、痛切にそういう思いを感じた。このことが一番、今、記憶に残っておることでございます。
(問)お疲れ様でした。
 大臣は、被災した、被災地のある県選出ではない大臣として、だからこそ被災地に向けてやってきたこと、できたことというのを伺いたいのと、あと次の大臣の名前で、平沢さんのお名前が挙がっていますけれども、その観点も含めて、アドバイスできることがあれば教えてください。
(答)先ほどちょっとお話ししましたけれども、私のほうとしても、何ができたかというと、10年の節目を迎えるに当たって、今後10年間復興庁を残す、法律を5本国会で通していただいた、このことが一番大きなことであったんだろうと思っております。そして、福島の国際教育研究拠点のことにつきましても、一定の取りまとめをして、今後の方向づけをすることがある程度できた、こういうようなことです。
 もう1点は、やはり、できたということでは決してございませんけれども、風評被害に向けて、私自身があちこち走り回らせていただいた。このようなことは、やらせていただいたことの業務の中で、今ふと思い出させていただくことかなと、こう思っております。
 次の大臣の方にお願いをしたいということは、はっきり言うと、私の大変親しい平沢先生が御就任の予定でございます。平沢先生は福島高校出身でございますから、東京の政治家ですけれども、福島のことは非常に、御地元のことは詳しいわけでございますけれども、とにかく現場主義の徹底ということを私も貫いてまいりましたけれども、このことを、やはり言葉を胸に刻んで、毎日頑張ってまいりましたので、できればこういうことを共有していただきたい。
 また被災地や被災者の方々に、いろんな事情がございます。自治体ごとにもまた違いがあるわけでございまして、相当多岐にわたるお話がこれから出てくると思います。特に人がなかなか戻ってこない、増えない現実、それからその背景にある生業(なりわい)の問題、こういうようなことは本当に大変な課題があるわけでございますけれども、ぜひ一つそういうことで、被災地や被災者の方にしっかりと寄り添っていただければと思っておるところでございます。
 以上でございます。
 どうもありがとうございました。本当にお世話になりました。また今後ともよろしくお願いいたします。何かお役に立つことがあったら、遠慮なく取材でもしていただければと思います。ありがとうございました。

(以  上)

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