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吉野復興大臣記者会見録[平成29年9月1日]

吉野復興大臣閣議後記者会見録(平成29年9月1日(金)10:25~10:35 於)復興庁記者会見室)

1.発言要旨
 本日は防災の日でございます。
 政府としても、首都直下地震を想定して、緊急災害対策本部会議の開催などの訓練を実施しました。今朝、私も官邸まで徒歩で参集したところでございます。
 本日の訓練を通して、6年前を思い出しました。一場面、一場面、目に浮かんでまいりまして、東日本大震災からの被災地の復興に向けて、全力を傾ける決意を一層深めたところでございます。
 本日の報告は3点ございます。
 まず、第1点目、本日、福島県双葉郡双葉町、浪江町の両町にまたがるエリアに福島県が整備する復興祈念公園のうち、国営追悼・祈念施設、仮称でございますが、これを浪江町の一部区域に設置することについて、閣議決定を行いました。
 国として、東日本大震災による犠牲者への追悼と鎮魂の深い思いを示し、津波被害や福島第一原子力発電所事故による災害等、震災の記憶と教訓を後世に伝承し、復興に対する強い意志を国内外に示すため、設置するものでございます。
 今後、国土交通省や地方公共団体と連携し、整備に取り組んでまいります。
 2点目、来週9月4日に福島県楢葉町で開催されます、「笑ふるタウン」の楢葉商業施設並びに交流施設建築工事の起工式に出席をいたします。
 楢葉町の復興拠点である「笑ふるタウン」に、商業施設と交流施設が整備されることにより、活力がある生活拠点が形成され、復興がより一層進んでいくことを期待しております。
 3点目、8月29日、宮城県東松島市を、翌30日には宮城県南三陸町、気仙沼市、岩手県陸前高田市、大船渡市を訪問いたしました。
 大臣に就任してから4か月、現場視察を続ける中で、行政と被災者だけではない、支援者の役割の大きさを認識したところでございます。
 今回の視察でも、地元食材の発信に取り組む、移住してきた移住者「東松島食べる通信」や、震災を風化させないために語り部バスを作り、そういう取組を行っている南三陸ホテル観洋、IT技術などを用いた地域資源の高付加価値化に取り組む事業者、バンザイ・ファクトリーという会社ですけど、などからこれまでの御苦労や今後の抱負などを伺ってまいりました。
 また、大船渡市では、復興・創生インターンの学生や、受入れ企業の皆様方と意見交換を行いました。
 学生という外部の視点によって、受入れ企業にとっても経営改善につながる新たな気付きが生まれているといった、そういうお話を伺ってきたところでございます。
 今後も現地に足を運び、支援者の方々などから特にソフト面を中心に、復興の取組や課題等を直接お伺いしてまいりたいと思っております。
 以上です。
2.質疑応答
(問)浪江に作る国営の追悼施設ですけれども、大臣の選挙区でもありますけれども、改めてどういう施設にしたいか、その思いをもう少し教えてもらえますか。
(答)今述べましたように、これは追悼と鎮魂の場という形で整備をするわけであります。そして、福島県の場合は津波被害と原発災害、この二つがございます。その記憶を風化させないがためにも、きちんと後世の方々に伝えていくと、こういう役割もあろうかと思います。
 そして、もう一つは、多くの方々がふるさとを離れております。ですから、その絆をきちんとつなぐと、絆を作っていくというその祈念施設を、ふるさとを離れた方々が来ることによって、ふるさとの絆を新たにするという、こういう役割も持たせていきたいと、このように考えています。
(問)先日、南相馬の桜井市長が大臣のところに伺いました。あと、環境省の方にも要望されておりますけれども、市長が指摘されているのは、いわゆるその人口のバランスがなかなか整っていなくて、若い世代がまだ帰還も進んでいなくて、それが復興の妨げになっているという課題を一つ御指摘されて、もう一つが、これは原発事故後の賠償等で、地域内のコミュニティがやっぱりなかなかうまくいかないというか、分断があるというような指摘がありましたけれども、ひとつ概算要求の作業が一段落したということで、昨日市長が指摘したいわゆるその人口減少、若しくは世代間バランスの悪さを、あとは、地域の分断を直すような仕組みを今後、本格的に議論をしなければならないと思うんですけれども、大臣はいかがでしょうか。
(答)御指摘のとおり、避難指示を解除しても若い方々がなかなか戻ってこないというのが現実です。そういう意味では、老・壮・青、この三つがあるバランスをもって地域というものが成り立っているわけですけど、本当に高齢の方々の割合がかなり高くなっています。これは南相馬市だけでなくて、双葉郡全体もそうであると、このように考えております。
 ですから、若い方々をどうこの震災地域に連れてくるか。戻ってくる方、そして、新たに来る方も含めて、これからきちんと議論をしてやっていかねばならないと、これが一番の大きな復興庁としての一番の大きな課題だなということを認識はしております。
 また、南相馬市は本当に隣と我が家がある意味で賠償が異なっているという、同じ地域に暮らしていながら分断されているというのが今の賠償の基準でございます。
 本当に震災前は隣と仲良く、私たちの田舎では、例えば私、子供の頃は味噌がなくなると隣に行ってもらってきて、本当に兄弟のように家が一家のように、そういうお付き合いをしておりました。そういう仲が、賠償が違うという、本当にお金は魔物でございまして、それで仲違いをしているというのが今見られる現象でございます。
 この問題もすぐは解決できないと思いますけど、同じ地域を分断するような施策は、私はいかがなものかなというふうに思っておりますので、この点についても私として全力を尽くしていきたいと、このように考えています。
(問)ちょっと戻って追悼施設の件なんですけれども、宮城とそれから岩手にもできますけれども、福島県の場合、やはり大臣がおっしゃったように原発事故のこの災害についての意味合いというのが加わっていて、宮城、岩手とはちょっと意味合いが違うんだと思っておるんですけれども、大臣はこれにどうしたいのかなとかはあるんですけれども、今日のプレス発表文の中に、国営追悼施設のその閣議決定についてというプレス発表文の中に、原子力災害とか原発事故という文言は全くなくて、もちろん犠牲者の追悼とか鎮魂という目的は書いてあるんですけれども、原子力災害、それから原発事故という文字が全くないんですね。
 もちろん、公園全体の基本構想の中には、そういった原子力災害の教訓を伝承するとか受け継ぐんだという、そういうことは書いてあるんですけれども、この今日の復興庁の発表を見ると、何かそういった原子力災害のことが何か抜け落ちていると、ちょっと前も首相の挨拶の中にそういった文言が入ったか入っていないかというのが問題になりましたけれども、この点、大臣はいかがでしょうか。
(答)ですから、今日私は東日本大震災をきちんと分析すれば、地震、津波、そして、原子力災害、これが東日本大震災の中に入っておりますので、きちんと分かりやすく冒頭述べたわけでありまして、意図して原子力災害を除いているということではございません。
(問)私はですから、基本、公園自体はその県の構想ということで、県としてはそういう教訓を受け継ごうと、伝承しようというつもりがあって、国の方は何かそれをごまかしているようかのように、そういうふうにうがった見方もできなくはないような、そんな感じを受けるものですから。
(答)はい。だからこそ、冒頭私の発言の中に東日本大震災は地震、津波、原子力災害が含まれていますよということで、きちんとお話をしたわけであります。
 特に、福島の施設はふるさとを離れた方々がきちんとお参りすることによって、来ることによって絆を新たにすると、絆が、ちゃんとふるさとに対する絆があるんだと。
 例えば、県外に移住している方々も含めて、この追悼施設を作ることで戻ってくる。そして、ふるさとの絆を新たにするという、そういう大きな役割もこの施設には持っていただきたい。このように考えています。
(問)昨日、NDFが福島第一原発の溶融燃料の取り出しにつきまして、気中工法というのを提案されました。
 今後、政府として取り出し方針、ロードマップの見直し作業が進むと思いますが、何か直接の所管ではないと思いますが、大臣として今後、東電に対する注文などあればお願いいたします。
(答)今までロードマップ、何回も改訂版、私のところに全部取ってあります。でも、それはある意味で実現可能性が低い今までのロードマップだったと思います。
 今度改定されるロードマップは、実現可能性の高い、本当の意味でのデブリをきちんと取り出せるという見通しが立った中でのロードマップという形で、私は理解をしているところです。

(以    上)

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