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吉野復興大臣記者会見録[平成29年8月31日]

吉野復興大臣記者会見録(平成29年8月31日(木)8:45~9:09 於)復興庁記者会見室)

1.発言要旨
 おはようございます。平成30年度復興庁予算概算要求について、配布させていただいた資料のとおり公表させていただきます。
 私自身、被災地出身の議員として、発災以来、復興に全力を尽くしてまいりました。
 また、大臣就任以降、この4か月余り、津波被災地域も含め、被災地を訪問し、被災者御自身や被災者の支援に関わる方々からじかにお話を伺ってまいりました。副大臣、政務官にもたびたび現地に足を運んでいただいております。復興の課題は現場にあり、その解決策も現場にあると考えております。復興庁一丸となって、現場主義を徹底してまいります。
 被災地では、インフラ整備については順調に進んでいると考えております。また、これまでの取組の結果、復興の過程で生じる課題に弾力的に対応できる制度が整えられてきたと考えております。
 一方、新たに生じている課題や取組の強化が必要な課題もあります。例えば、被災者支援の分野では、支援に関わっていただいている方々への支援の強化が必要な状況にあることを、現場を歩く中で強く認識をいたしました。
 多様化、複雑化する被災者の課題に的確に対応するためには、行政が被災者に手を差し伸べるだけでは十分ではございません。被災者に寄り添って支援をする支援者の役割が極めて重要でございます。
 産業・生業の再生の分野では、原発事故から6年を経過した今なお、農林水産業を中心に風評被害対策が必要でございます。先日の「原子力災害からの福島復興再生協議会」でも、多くの出席者から御要望を頂いたところでございます。
 根強い風評を払拭するためには、全国の方々に放射線について正しく理解していただき、その不安を解消していくことが必要でございます。
 分かりやすい情報発信を通じて、福島県の農林水産物の安全性を御理解いただくことが、産業・生業の再生につながると考えております。
 これらの現場ニーズを踏まえ、今回の予算要求では、被災者支援や産業・生業の再生の分野における、きめ細かなソフト支援などに注力をいたしております。新規施策や今回拡充した施策には、特に印を付けさせていただいております。主な新規施策や拡充施策について御説明させていただきます。
 まず、被災者の心のケアについて、より適切な支援の提供に向けて、被災3県に設置されております心のケアセンター間の連携強化を図ってまいります。
 また、避難指示が解除された区域への帰還者や福島県外避難者向けの相談体制の強化に取り組みます。加えて、被災者支援の現場で復興を支えていただいている支援者自身が心の健康を保ちながら、継続的に役割を果たすための取組を強化してまいります。
 具体的には、被災者が直面している課題を支援者同士で共有し、問題解決に向けた検討を行う交流会の開催や専門家による研修、心の健康に関する講習会などを実施してまいります。
 福島については、避難指示の解除により、ようやく本格的な復興のステージを迎えた地域での生活再開に必要な環境整備に取り組んでまいります。
 特に、避難指示解除区域等の介護施設は、介護人材の確保が困難であることから、安定的に事業を実施することが難しい状況にございます。   
 そこで、人材確保等を充実するとともに、避難指示解除区域内の介護施設等への時限的な運営支援を新たに実施することにより、地域の介護サービス提供体制の確保を図ってまいります。
 イノシシを中心とした野生鳥獣の出没が、住民の帰還の妨げとなっております。専門家の御意見も踏まえながら、侵入防止柵の設置や捕獲罠の数を増やすなど、対策を抜本的に強化してまいります。
 浜通り地域の教育再生に向けて、引き続き、ふたば未来学園の整備や魅力ある教育づくりを支援してまいります。加えて、福島イノベーション・コースト構想を担う人材育成にも着手をしてまいります。
 これらの取組を通じて、住民の方々が安心して帰還していただけるよう環境整備に努めてまいります。
 また、帰還困難区域における特定復興再生拠点の整備に関する予算については事項要求とし、地元市町村から申請された計画の認定状況を踏まえ、予算編成過程で具体化してまいります。
 加えて、情報発信の強化を始め、風評払拭のための放射線リスクコミュニケーションの抜本的な強化に取り組んでまいります。年内に、復興庁が中心となって取りまとめる風評払拭・リスコミ評価戦略の策定に向け、予算編成過程で施策を具体化してまいります。
 このほか、営農再開支援、森林整備の基盤となる林道等の道路の整備、水産業の販路拡大等を通じた福島県農林水産業の体制や福島イノベーション・コースト構想の推進、事業再開・新規立地への支援にも引き続き取り組んでまいります。
 これらの取組を含め、復興の着実な推進のためには、必要な平成30年度復興庁予算概算要求の総額は、約1兆6,300億円となりました。
 津波被災地域であっても、福島の原発事故被災地域であっても、被災者の方々が、一日も早く安心して生活できる環境を取り戻せるよう、必要な予算の確保に取り組んでまいります。
 以上です。
2.質疑応答
(問)冒頭で、支援者支援にお力を入れるということで、今回の予算編成もそのようになったということをおっしゃっていましたけれども、お話もありましたけれども、改めて、具体的にどんなところにつながる予算になり、どういう事業を展開していきたいかという気持ちをお聞かせください。
(答)NPO等々を通じた支援者の方々がたくさんおられます。でも、支援者同士の情報の共有化、被災者がこういう形で今困っていますよという情報の共有化を、そこの担当している支援者は理解をしておりますけれども、そこの横展開といいますか、水平展開、これをしていかねばならないわけであります。
 そういう意味で、支援者の交流会等々の事業をこれからやっていきたい。また、支援者の中で、心が折れて、心のケアを必要とする方々もおられます。ですから、そういう方々に対する心のケア、こういう事業もこれからやっていきたい。そして、情報を共有化して、更なる被災を受けられた方々への支援を強化していく、こんな内容でございます。
(問)概算要求ということで、いわゆるその金額の大きさとか増減がどうしても注目されるんですけれども、一つ、原子力災害による被災事業者の自立等支援事業というのが、既存事業でございまして、それが昨年度当初で54.2億円だったんですが、今回15.7億円ということで、大分金額が下がっておりますけれども、これは需要を見計らった上での減額なのでしょうか。
(答)(審議官)昨年、30数億円基金の造成をしたワンショットの支出がございまして、それを除くと、昨年と同額を確保させていただいているということでございます。
(問)その金額の関係ですけれども、やはりその事項要求で、当然ながら復興拠点については、まだ計画が出そろっていないということで、概算要求というのは分かりますし、事項要求というのは分かるんですけれども、自立機関支援雇用創出企業立地補助金、これは毎年概算要求のときには事項要求なんですけれども、これについては、大臣、どのような姿勢で。
(答)(審議官)28、29、30年度の3年間にわたって申請を受け付けるという仕組みなんです。
 それで、初年度320億、当初予算の提示を。次の年に、ちょっと足りなくなりそうなので、乖離要求という形で、185億円を頂いております。全体として、505億円まで増勢したんですけれども、結構、支出が進んできておりまして、今、残が250億ぐらいまで来ました。そうすると、来年1年間持たないかもしれないということで、この250億円がどれだけ年度内に消化されていくのかということを見極めながら、編成過程で変えようということで、実際の数字で要求していこうと、こういうことでございます。数字の見極めが効かないものですから、現時点では事項要求にさせていただいている、こういうものでございます。
(問)今回の事項要求というのは分かるんですけれども、前年度の予算額において、2,000億ぐらい、今回の額としては下がっていますけれども、最終的には前年度の予算額ぐらいの額まで、事項要求分が固まれば、そこまで上がってくるものなのかどうかというのは、ざくっとした計算上ですが。
(答)これは、帰還困難区域の復興拠点の面積がこれからですから、それによって、かなり除染の費用等々どのくらいいくかは変わってきますので、だから事項要求ということでございます。
(問)被災地から見ると、前年度に比べて大きく予算額が下がってくると、そういうような不安感が。
(答)これはもう、インフラ整備等々が順調に進んでおりますので、復興庁の予算額全体が下がっていくというのは当然でございます。ですから、ハード面から、いわゆるソフト事業に大きく予算の配分を切り替えていく。
 全体的には下がっているんですけれども、いわゆる例えば被災者支援等々のところは、逆に増やしていくというような形で、ソフト面のところを増やしておりますので、全体的には、これはもうハード面の整備ですから。これは下がっていくのは当然です。
(問)復興庁の予算としては、復興特会であらかじめフィックスされていって、ほかの省庁の概算要求と違って、財務省からの厳しい査定みたいなものはそれほどないと考えていいのか。つまり、この概算要求の額と実際の、1兆6,273億円に対して下がっていくという理解なのか、それともこれが基本的にこのまま認められていくのかという見通しはないのでしょうか。
(答)基本的に、これは必要な額を概算要求で要求しておりますので、きちんと必要性を、ある意味で理論武装しておりますので、そういう意味では、満額確保したいというふうに思っています。
 ほかの省庁のように、いろんな2割まで加算して要求していいよという、そういう制度ではございませんので、あくまでも必要な額を要求していくという形になっていますので、これは満額取りたいという思いでございます。
(問)相双地域における介護サービス提供体制の確保というのが、約11億円概算要求されておりますが、そのうち、約8億円程度がいわゆる介護サービス提供再開再生事業ということで、事業者の支援に政府が関わってくるんですけれども、これは福島県も要望していて実際被災地復興には重要な政策になるかと思いますけれども、日本国全体で考えると一つの地域の施設に政府が支援するということはいいことなんですけれども、その理由付けをやはり政策的に政治的に説明しないと、いいことなんですが、被災地の優遇ではないかという批判も出る可能性はありますので、その点について大臣は御説明いかがでしょうか。
(答)介護保険制度の仕組みは、定員が100%になって初めて適正な利益が出るというそういう建て付けになっております。これから戻る避難解除された地域での介護事業者は、まず職員の確保がされておりません。ですから、確保された職員だけでまずは始めないと、1人でも2人でも需要があるわけですから、始めていくわけです。でも限られた職員だとその職員の数しか定員が認められないというのが介護保険の仕組みなんです。100%になって初めて適正利潤が確保される。定員割れの場合は確実に赤字なんです。ですから、職員が確保されないで定数が満たされないという原子力地域の特殊な事情がございますので、でも必要な施設でございますので、そこの運営費補助をしていくという趣旨でございますので、それは全国の皆様方にとっても御理解の頂ける理論武装であると、このように考えております。
(問)大臣、就任から4か月ということで、今回の概算要求の内容の中に御自身がやりたいことというのは大体入ったのかということと、加えてちょっと具体化は難しかったけれども、更にこういうところを今後取り組んでいきたいというところがあれば教えていただきたいなと。
(答)おかげさまで、大臣になってから30年度の予算編成に携わることができました。私の思いは大体入っているつもりです。ただ、入らなかったところもございますので、その辺はこれから十分に検討して被災地、被災者のために頑張っていきたいと思います。
(問)分野でいえば、どういったところを更に。
(答)例えば教育分野です。教育分野の奨学金制度をちょっと今考えていたんです。給付型奨学金、これ全国制度で出来ましたけれども。やっぱりこれからふたば未来学園高校が来年の3月で卒業生が出ます。ですから、大学進学等々もございますので、そこのところもう少し文科省とともに理論武装をしていかないと予算要求の段階まで行きませんので、それがちょっと時間的にできなかったことだと思います。
(問)避難指示区域の鳥獣確保、イノシシとか。そういった動物類の確保について、この問題もう原発事故が起きてから割と早い時期にイノシシがかなり出没していて、家の中に入ったりとかそういう問題があったわけですが、その頃はなかなか人が入れない状況で、それから利用者も減っているし、イノシシ、あるいは牛、豚等が増えていくのはなかなか防げなかった状況ですが、ここ数年、鳥獣確保について予算が付けられていますが、予算よりもこの問題が一体いつ頃になったら収まりがつくのかというそういう見通しがないと、なかなか住民の方も安心して帰還したり、あるいは帰還しても住むことができないと、住み続けることができないという問題になってくると思います。いつこの問題が解決するのかというそういった見通しというのは、大臣もお持ちなんでしょうか。
(答)四、五年前になりますけれども、鳥獣被害防止特別措置法を議員立法でつくったんですけれども、私が事務局長としてつくらせていただきました。ですから、イノシシの場合、赤ちゃんたくさん産むものですから、1年間の間に6割処分して1年経つとプラスマイナスゼロになってしまうということがございますので、処分してイノシシ被害をなくすんだという発想はこれは基本的にできないと思います。ですから、イノシシの棲む世界、人間の住む世界というすみ分けをする世界をつくっていかないと、1年たって6割処分したんだけれども、元に戻っちゃうというのがイノシシの生態なわけでございますので、なかなかに、今一生懸命努力はしています。罠の数を増やしたり予算も増やして、私も役所の中で倍にしろというくらい言っておりますけれども、これは捕獲ということを地道にしながら基本的にはすみ分けをどう図っていくかという形で。特にこれから避難指示が解除されて多くの方々が戻っていますけれども、一番やっぱりそこです。イノシシの被害でもう家の中荒らされちゃって、帰るに帰れない。あと家の中の線量もイノシシが運んできて高い。表は低いんだけれども家の中が高いというそういういろんな問題が生じておりますので、これは大きな課題として取り組んでまいりたいと思っています。
(問)捕獲というか、すみ分けという…。
(答)すみ分けしかないんです、イノシシでは。我々は駆除すればいなくなるんだとこう思うんですけれども、6割駆除はできないです。ですから、最終的にすみ分けしかないですね。あとはエリアで囲っちゃう、守るべきエリアは全部柵で囲っちゃうというコロニー政策。イノシシのコロニーじゃなくて、人間の大事なところのコロニーというのも一つの方策でございますので、山の被害等に関しては大事なエリアは柵を囲って大事な植物とか食べられないようにという、そういう政策もとっておりますので、いろいろ知恵を出して考えていかないといけない大きな問題です。ありがとうございます。

(以    上)

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