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根本復興大臣の会見[平成26年6月24日]

根本復興大臣記者会見録(平成26年6月24日(火)10:00~10:22 於)記者会見室)


1.発言要旨
  おはようございます。私の方から4点お話をいたします。
   まず、復興施策に関する事業計画及び工程表の見直しについてであります。
   福島県の避難指示区域などを除いた地域の復興施策に関する事業計画及び工程表について、各府省の協力のもと、見直しを行いました。本日、復興庁ホームページで公表します。
   事業計画及び工程表は、膨大な事業を円滑かつ効果的に行うため、また国として被災地の方々に復興の目途をわかりやすく示すため、年に1回、予算の内容や情勢の変化などを踏まえて見直しを行っているものです。
   公共インフラ及びそれ以外の復興施策について、取組の方針や今年度の取組などを網羅的に記載しています。
   このうち、公共インフラについては、昨年設定した平成25年度の成果目標に対する進捗確認を行いました。その結果、数値目標を設定した11事業の中で、6事業については目標達成または概ね目標達成となりましたが、5事業については、平成26年度以降に目標達成がずれ込むことになりました。目標達成がずれ込んだ事業についても、成果目標に対して概ね9割の進捗が図られており、全体としては、平成25年度成果目標に対しては、概ね目標を達成したものと認識しています。
   復興庁としては、引き続き、現場主義の徹底を図り、「住宅再建・復興まちづくりの加速化に向けた施策パッケージ」などを周知活用しながら、新たな復興のステージを迎えるたびに出てくる課題に対して、柔軟かつ迅速な対応を図り、復興の加速化を進めていきたいと考えております。
   次に、第9回復興交付金の交付可能額通知についてであります。
   本日、第9回の復興交付金として、4県及び37市町村に対し、事業費約702億円の交付可能額の通知を行います。
   主な内訳については、災害公営住宅整備事業として、9市町に対し約146億円を配分、防災集団移転促進事業として、3市町に対し約7億円を配分、土地区画整備事業として、8市町に対し約52億円を配分するなど、被災地の住まいの再建に必要となる事業のほか、水産・漁港関連施設整備事業として、12市町に対し約205億円を配分するなど、生業の再生に必要な事業にも措置しています。
   次に、別紙3のとおり、福島県の水産業については、漁港・港湾の復旧に伴う県外操業の再開や沿岸部の試験操業により、水揚げ量は震災前の約4割に回復している状況にあります。
復興交付金では、被災した水産関係の共同利用施設や研究施設の整備により、福島県水産業の復興を支援しています。
   今回の配分では、新たに大熊町から相馬市へ移転・復旧する被災した福島県の水産種苗研究・生産施設の整備に必要な設計費を配分します。被災前の施設は、発電所の温海水を利用し、全国でも有数のヒラメの放流、種苗の回収率を誇っていたもので、施設再開への期待は大きいものと考えられます。
   また、楢葉町の木戸川では、町の資料によると、江戸時代からサケ漁が行われており、観光資源としても活用されていたところ。楢葉町では27年度春以降の町民の帰還を見据え、震災前に放流したサケが回帰する27年秋のサケ漁の再開に向け、サケの捕獲や放流に必要な施設の整備を計画しています。今回は秋からの工事に向け、設計費を配分します。
   楢葉町では、既に防災集団移転促進事業や災害公営住宅整備事業を実施しており、引き続き、楢葉町の再生に向け、一層の支援をしていきたいと思います。
   次に、別紙4ですが、土地区画整備事業は、公共施設を整備し、民間の宅地利用の増進を図ることによって、地域ごとのニーズに沿った様々な復興まちづくりに活用されています。
復興交付金では、これまでにない特例として、一定の居住地のかさ上げも支援しています。
復興庁では、国土交通省とも連携し、住民意向などを踏まえた適正な事業となるよう、被災自治体に対し、計画策定見直しの助言を随時実施しています。これにより、例えば宮城県名取市、宮城県女川町、岩手県陸前高田市では、高台の造成やかさ上げ範囲の縮小など、事業計画を見直しながら、住まいや生業の再生に必要な新たなまちづくりを強力に支援しています。
引き続き、土地区画整備事業も活用し、復興まちづくりの加速化に取り組んでまいりたいと思います。
最後に、別紙5のとおり、震災遺構については、昨年11月の支援方針の発表を受け、遺構の保存に関する議論が本格化し、今回の配分では、新たに遺構の保存に関する検討を行う3市町に対し、調査費を配分します。
復興交付金では当初から、例えば宮古市では、24年5月の第2回配分時に調査費を配分し、たろう観光ホテルに関する検討を行ったところです。
このように、震災遺構の保存を検討する自治体においては、まずは調査費を活用し、具体的な保存の形態、維持管理の方法などを検討していただくことが考えられます。その上で復興庁としては、昨年11月に示した方針を踏まえ、必要な支援をしていきたいと思います。
今後の日程ですが、次回の第10回事業計画の提出受付の時期については、市町村などの今後の作業状況を踏まえて検討することとしています。今後、復興のステージが上がるたびに被災地のニーズが変化していくところであり、引き続き、現場主義の立場に立ったきめ細かい対応を行い、復興を加速させていきたいと思います。
次に、第16回復興推進委員会の開催についてです。
第16回復興推進委員会を6月26日、14時半から開催する予定です。当日は先導モデル事業をはじめ、新しい東北関連施策や被災地の産業復興に向けた取組について、ご意見をいただくこととしています。
最後に、岩手県訪問についてであります。
明日、岩手県釜石市を訪問します。釜石市花露辺地区では、防災集団移転促進事業や災害公営住宅整備事業、漁業集落防災機能強化事業を一体的に整備している現場の進捗状況を視察するとともに、釜石市の基幹産業である水産加工業の生産性や、付加価値の向上に貢献する地元企業を訪問し、取組の様子を拝見させていただきます。
また、岩手県沿岸の市町村で構成する復興期成同盟会総会に出席し、意見交換をする予定です。
私からは以上です。

2.質疑応答
(問)先ほどの復興交付金の9回目の件についてなのですけれども、あらためて今回の意義を簡単にお話ししていただけると助かります。
(答)復興交付金というのは、40事業を一括して交付する。40事業を対象に、いろいろな事業を、それぞれの市町村が必要な事業を、しかも年度で切れ目なく交付金申請をしてもらって交付する。その意味では、市町村のニーズに応じた予算を逐次交付している事業であります。
今回、事例でお示ししたとおり、復興交付金自体は、市町村のニーズに応じて交付をしますが、例えば今回、別紙3、4、5で示したとおり、福島県水産業の復興への支援という横断的な切り口でいうと、復興交付金がどう活用されて、その地の復興に役立てるか。あるいは土地区画整備事業を活用した復興まちづくり対応、あるいは震災遺構の継続的対応をしていく。こういう横断的な切り口で、復興交付金の持つ意味・効果を、今回示させていただきました。
いずれにしても、この復興交付金というのは、阪神大震災のときにはなかった、極めて使い勝手の良い交付金ですから、交付金を活用して、市町村のニーズに応じた復興、迅速な復興になる。積極的に我々としても活用していきたいと思います。
(問)これまでも何度か質問が出ているかと思うのですけれども、集中復興期間の延長についてお伺いします。
先日、宮城県・村井知事が、県の来年度の国への予算要望の最重要項目に集中復興期間の延長をあてる、という考えを示しました。このお考えについて、大臣の見解をお聞かせください。
(答)まず、基本的なことを申し上げたいと思います。東日本大震災からの復興については、東日本大震災からの復興の基本方針において、復興期間を10年間とした上で、復興需要が高まる当初の5年間を集中復興期間と位置づける。そして、事業の進捗などを踏まえて、集中復興期間後の施策のあり方を定める。これが、基本方針に定められた考え方です。まずは、復興の動きを更に加速して、復興集中期間において、被災地の一刻も早い復興を目指すことが重要と考えています。
その上で、集中復興期間後の平成28年度以降の復興事業については、それまでの進捗状況などを踏まえて、財源を含めて、そのあり方について検討する必要があると考えています。もちろん、集中復興期間が10年間とされていますから、被災地の復興に真に必要な事業については、集中復興期間後の平成28年度以降も実施する必要があると考えています。これが私の基本的な考え方です。
(問)宮城県によりますと、来年度までの期間ですと、2.5兆円分の事業が終わらすことができないというふうに答えていて、更に5年間、集中復興期間が必要だというふうに話しています。選択肢として、集中復興期間を10年間にするということは、あり得るのでしょうか。
(答)もう一度繰り返しますが、集中復興期間後の平成28年度以降の復興の事業については、それまでの進捗状況などを踏まえて、財源を含めて、そのあり方について検討する必要があると考えています。
(問)昨日、タスクフォースで風評対策強化指針というのを策定されたわけですけれども、被災地が直面しているのは、風評と同時に、やはり風化の問題というのが大きな問題としてあげられており、昨日の衆院本会議で、石原大臣の不信任決議案が議題に上ったのですけれども、その際に、野党側の賛成討論の際に、与党側の議席の方から、かなりヤジが飛びまして、中には、福島県民の心を踏みにじっただろうとの指摘の際に、「妄想でものを言うな」とか、そういった野次が飛びました。
石原大臣の発言の真意はともかくとして、自分の党の大臣が引き起こした不信任決議案の中で、なぜ被災地に憎しみを持つようなレベルの野次を飛ばすのか、全く理解できません。国会議員の中で、何か風化しているのではないかというのが、私の実感です。東京都議会の方でも、セクハラまがいのヤジが大変問題になっている中で、復興大臣として、いかがお考えでしょうか。
(答)ヤジについては、私は聞こえませんでした。そして、今回も風評被害対策で、例えば私が福島県の農産物、被災地を訪問して、私も訪問したし、総理も訪問して、例えば福島県のサクランボ、これだけ質の良いサクランボが売れない、という話も聞いて、その意味で、やはりこれは、政府の方では、各省庁で被災地の農・水産物を使っていますから。やはりこれは、民間にも広げていただいて社内マルシェあるいはご贈答品での活用、こういうことをやってもらう必要があるということで、私も自ら、経団連の会長のところに要請に行きますが、風化、人の記憶というのは、だんだん薄れていくのであろうと、これは自然に薄れていく、一般的に。ということだろうと思いますが、少なくとも復興については、我々が中心になって、復興施策をどんどん繰出していく、あるいは風評被害対策も、結果的には風化をさせないような効果を持つと思いますが、これはやはり、我々、特に私は復興の責任者になりますから、私は、よもや風化することによって復興が進まないということが、あり得ないように、一日も早い復興、そして国民の皆様の協力を得ながら進めていきたい。
ですから、例えば官民連携推進協議会というのをつくりました。それは、民もこれからは、やはり民の力が、特に産業復興の段階になると必要だし、今回の東日本大震災からの復興の過程では、民間の皆様のボランティアあるいはNPOの活動、あるいは企業についても、社会的貢献という観点から、非常に積極的に取り組んでいただいているので、私は、こういう思いのある皆さんに呼びかけて、その運動を、ムーブメントを広げていくということも必要だろうと思います。ですから、その意味で、官民連携協議会という幅広い仕組みもつくった。やはり具体的に、風化させないような取組を、我々が行動で示していく、復興施策をどんどんアピールしていく、それが近道ではないかなと思います。
(問)昨日、石原大臣が中間貯蔵施設の問題発言について、謝罪をされました。各首長の方からは、比較的、受け止めというようなお話が多かったように思いますけれども、実際のところ住民からすれば、ああいった謝罪で、それが解消されるのか、直接、住民に説明する機会があってもよいではないか、というふうに思うのですけれども、大臣としてはどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。
(答)石原大臣は国会での説明を尽くして、更に福島にも直ちに足を運ばれた。そして、町長や知事に直接お会いになられて、先方の皆様も、石原大臣のお詫びの気持ちなどを受け止められたと承知しています。今後やはり大事なのは、中間貯蔵施設問題は、福島の復興再生にとって大変重要な問題ですから、皆で力を合わせて前に進めていく、これが私は何よりも重要だと思っています。
(問)最近、自民党都議のヤジの発言であったり、石原大臣の発言であったり、麻生さんのいじめ発言であったり、ちょっと相次ぐ失言が目立っていますが、こうしたことは、ゆるみなのではないかという指摘もありますが、大臣の受け止めをお願いします。
(答)私も政府に身を置いていますから、政策をきちんと仕上げていく、前に進めていく、これが何よりの責任だと思います。それから、常にやはり政策、政権運営等もそうですけど、常に緊張感を持って当たっていかなければならないと思います。

 

 

(以    上)

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