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根本復興大臣の会見[平成25年11月29日]

根本復興大臣記者会見(平成25年11月29日(金)10:00~10:25 於:記者会見室)

1.発言要旨
 それでは、私の方から4件お話をいたします。
 まず、第1点目、第7回復興交付金の交付可能額通知についてであります。
 本日、第7回の復興交付金として、4県及び59市町村に対し事業費約2,338億円、国費額1,832億円の交付可能額の通知を行います。主な内訳として、災害公営住宅整備事業として、13市町に対し約343億円を配分します。今回の配分で、累計で約5,069億円を配分し、約1万8千戸の完成までの事業費を配分しました。被災3県中、災害公営住宅の供給計画を策定している岩手県及び宮城県における予定戸数約2万1千戸のうち、約1万5千戸、7割の完成までの事業費を配分したことになります。
 防災集団移転促進事業として、3市に対し約119億円を配分します。累計で約4,812億円を配分し、約3万2千戸分の事業費に対応します。これにより、現在のところ防集事業の実施を想定している224地区のうち、219地区の事業費に対応することになります。これらの住宅の再建に必要となる事業のほか、農地整備事業として、14市町に対し約363億円、水産・漁港関連施設整備事業として、15市町村に対し約92億円など、なりわいの再生に必要となる事業を措置しました。さらに、防集跡地を活用した産業復興支援の観点から、今回配分では別紙4のとおり、防集跡地を活用した園芸農業や物流業を想定した事業用地の整備、大規模な農地整備と経営体の集約による収益性の高い農業の実施といった産業復興の取組を支援します。こうした取組は、単なる復旧にとどまらず、復興の中で我が国が世界のモデルとなる「創造と可能性ある未来社会」を形成する「新しい東北」の創造につながるものであり、引き続き支援を行っていくことが重要だと考えます。
 次に、別紙5のとおり、津波復興拠点整備事業については、居住地域にとどまらず、公益施設の整備による中心市街地の形成、業務用地の整備などの多様な用途に活用が可能です。今回の配分では、14市町村に対し約211億円を配分しました。累計で16市町に対応し、復興のステージの高まりにあわせた各地域の特徴となるまちづくりが進むように措置をいたしました。また、11月15日に、震災遺構の保存に対する考え方を公表したところであります。今回の配分では、別紙6のとおり、岩手県宮古市のたろう観光ホテルの保存に必要な事業費、宮城県山元町の中浜小学校を遺構として保存するための調査に必要な経費、これを配分します。
 最後に、別紙7のとおり、飯舘村から村外へ避難している農業者が、村の営農技術の継承のため、避難先で農業を行う際に必要となる農機具などを支援しているところであります。
 以上、今回の申請においても、被災地の個別のニーズに即し、様々な対応を行ったところであります。被災地においては、復興交付金の活用により、一刻も早い復興が進むことを期待しております。
 次回の第8回事業計画の提出受付の時期については、市町村などの今後の作業状況を踏まえて検討することとしております。今後とも引き続き、復興交付金に関する御要望については丁寧に伺い、現場主義の立場に立ったきめ細かい対応を行ってまいりたいと思います。
 次に、福島県及び県内各市町村から申請された復興推進計画の認定についてであります。
 本日、福島県及び県内52市町村から共同申請された復興推進計画を認定いたします。具体的には、昨年4月20日に認定し、本年7月5日に変更認定した税制上の特例措置を講じる復興推進計画について、対象市町村を拡大し、農業関連産業や水産関連産業の集積を図り、復興産業集積区域を県内52市町村に設定することにより、産業の集積及び雇用の確保を目指すものであります。この復興推進計画が活用されることにより、福島県の復興が促進されることを期待しております。
 次に、早期帰還・定住プランに基づく工程表の公表についてであります。
 本年3月に、早期帰還・定住プランを策定しました。これは、今後1、2年のうちに住民の帰還のために必要な環境を整えるべく、区域における帰還・定住を加速するための取組を取りまとめたものであります。その実施にあたっては、原子力災害被災12市町村の置かれている状況が異なるため、自治体ごとに個別具体的に取組を進めていくことが不可欠でありますので、自治体ごとに工程表を策定することとし、関係機関等との調整を行ってきたところであります。今回、このうち広野町、楢葉町、川内村の3町村の工程表について調整が整いましたので、本日、復興庁、福島県及び町村のホームページで公表いたします。11月26日に、上記3町村の工程表のインフラ部分については、インフラ復旧工程表の見直しとして、先行して公表をしております。
 この工程表を作成する意義は二つあります。一つは、国・県・市町村などの関係者が、時間軸の下で全体の工程を共有することができますので、個別の事業を停滞なく着実に進めることが可能になるということであります。もう1点は、帰還する住民の目線に立って、住民の方々にとって帰還のために必要な環境の整備の進捗状況、今後の見通しを具体的にお示しすること。例えば、広野町は住民の関心が特に高い、各種住民サービス施設や住宅などの整備を行うJR広野駅東側開発整備について記載をしております。また、川内村では、新たに整備している特別養護老人ホームについて、平成26年度中に入居を開始する旨、明示をしております。これら具体的な情報をお示しすることにより、住民の方々が帰還の御判断や帰還に向けた御準備を進めやすくなるものと考えております。今後、田村市などでも工程表の策定を予定しており、関係機関との協議が調い次第、順次公表を行うこととしております。今後とも、工程表の作成及びそこに掲げた事業の着実な実施を通じて、一日も早い地域の復興・再生に努めてまいりたいと思います。
 最後に、福島県、岩手県訪問についてであります。配付資料はありません。
 明日30日、福島県いわき市の小名浜地区の復興公営住宅安全祈願祭への出席を行う予定です。小名浜地区は、原発避難者向けの復興公営住宅の工事着工としては、いわき市で初の地区となります。明後日12月1日、安倍総理が岩手県を訪問される際、私も同行する予定です。具体的には、釜石市において仮設団地や、釜石市で初めて完成した災害公営住宅など、住まいの再建の状況を拝見させていただきます。その後、釜石警察署において、全国から応援で集まっている警察官をはじめ、現場の警察官の激励と、女性として初めて就任し陣頭指揮をとっている県警本部長にお会いする予定となっております。また、釜石市は、津波・防災教育に熱心に取り組み、さきの大震災においては多くの児童・生徒の命が救われました。そうした取り組みについて、現地の先生や住民の方々にお話を伺いする予定です。
 私からは以上です。

2.質疑応答
(問)今日の復興交付金の通知の関係で二つ伺いたいのですけれども、一つが、まず今回、農地整備事業だとか津波の復興拠点の整備事業だとか、その辺りが増えたというか、かなり上のほうを占めてきたのかなというところについて、まず大臣の御所見を伺いたいと、あと、この震災遺構を初めて認めたということについての御所見を伺えればと思います。
(答)今回、復興のステージが上がってきております。例えば、農地については津波で被災したところを大区画ほ場整備と、そして、他方で農業の法人経営をできる方々にその農地を使ってもらうということで、これは非常に有利な農業生産性にも係わる新しい先進的な取組を応援していきたい。それから、津波拠点については、要は町中の中心市街地の整備を応援するというもので、これも津波被災地において、いよいよ津波で被災されたところの中心市街地の整備に取りかかる、そういう特徴があると思います。これは、復興のステージが着実に推進されてきているという一つの表れだと思います。
 震災遺構については、これまでも震災遺構の保存に向けた調査に対して、復興交付金によって支援をしてまいりました。この宮古市のたろう観光ホテルについてはそういう要請があったので、これまで相談に応じて必要な対応をしてきました。今回、宮古市が具体的に保存に必要な経費を申請してまいりましたので、保存に必要な経費として、先般、復興に向けた支援方針を示したところでありますが、宮古市のたろう観光ホテルの保存に向けた復興交付金効果促進事業として初めての保存費用への支援を行うということであります。

(問)関連で、震災遺構を残すことに対する期待というのは、どういうことを持っていらっしゃいますか。震災遺構を残すということへの意義というか、期待というのはものでしょうか。
(答)震災遺構については、私も従来から東日本大震災の津波による惨禍を語り継いで、自然災害に対する危機意識や防災意識を醸成するなど一定の意義があるということで申し上げてまいりました。そして、やはり震災遺構として、どの遺構を残すかというのは、復興まちづくりとの関連性、あるいは維持管理費を含む費用負担のあり方、住民、関係者からの合意が必要であります。今回、その意味では、十分に宮古市で議論を詰めて、そしてまちづくりの中できちんと位置づけられて、震災遺構として残したいということですから、我々もそこは応援していきたいということで、今回、宮古市のプロジェクトについての支援をするということであります。

(問)同じく、震災遺構の件なのですけれども、今回、宮古市を認めたということなのですが、一方、南三陸町の防災庁舎の件なのですけれども、国の方針というか、対応の決定が遅れたことで、県内で混乱が生じているというような声もあるわけなのですけれども、こういった指摘に対する大臣のお考えはいかがでしょうか。
(答)私は、国の方針が遅れたというようなことではないのではないかと思います。もともと、先ほどもお話をいたしましたが、当初より震災遺構の保存に向けて、こういう遺構を保存したいという調査、これに対しては復興交付金で支援をしてまいりました。要は、個別の市町村の相談に応じて、必要な対応を我々は行ってきたところであります。最近、復興は新たなステージに移行してまいりました。そして、一部では震災遺構についての議論が進んで、宮古市のように具体的に保存が必要だということを申請するところが出てきた。こういうことを踏まえて、先般、震災遺構の保存に向けた支援の方針を示しました。宮古市の事例が生まれてきて、それをある種、横展開するという考え方で方針を示して、段階、段階を踏んで、その必要に応じて我々は対応してきました。しかも、これは復興特区の40事業ということではなくて、まさしくまちづくりの中で対応するという意味で、効果促進事業で応援するものですから、その意味では復興のステージ、あるいは震災遺構に対するあり方の議論、例えば宮城県では、昨年12月に調査の結果も出しておりますし、その段階、段階に応じて、我々は丁寧に対応してまいりました。

(問)復興推進計画についてなのですけれども、今回、変更の認定で得られる影響とか効果というのは、どのように認識しておられますか。
(答)今回の変更計画を認定することによって、課税の特例措置が活用できる業種としては、小売・サービス業の第三次産業を除いて、第一次産業、農業、水産業と、第二次産業の概ねの業種をカバーできることになります。それから、対象となる業種に該当して復興産業集積区域内に所在する事業所であれば、具体的な税制上の特例、例えば事業用設備などの個別償却、雇用した被災者の給与支払額の10%を税額控除する、研究開発税制の特例、あるいは新規立地促進税制、更にこれらの特例を受ける施設についての固定資産税等地方税の減免、こういう課税の特例措置を活用できることになります。多分、これまでも推進計画の対応については定期的に公表してまいりましたが、これは今、私が申し上げたような税制上の特例を受けることになりますから、これは事業所、事業者に対して大きなアプローチにもなる効果を持つと思います。

(問)震災遺構のことなのですけれども、先日、維持管理費の寄附金を募る場合に、復興庁がお手伝いすることがないか検討していくというような発言があったと思うのですけれども、その辺について具体的に決まったことはあるのですか。
(答)市町村が寄附金を募る場合、市町村の発信力を高めるという観点から、復興庁で、例えば復興庁のホームページに掲載するとか、様々な工夫があると思いますので、具体的な内容については今後詰めていきたいと思いますが、とにかく復興庁で応援できることは、発信力を高めるという観点から応援していきたい、後押しをしていきたいと思っています。

(問)用地取得の関係ですが、先日、岩手県で特例措置の要望がありました。今後の対応を含めて、大臣の見解をお願いします。
(答)用地取得の迅速化、これは岩手県を中心に取組をいただいている、これは私も認識をしております。そのために、私の下で関係省庁の局長クラスを集めて、住宅再建・復興まちづくりの加速化のためのタスクフォースを設置して、これまで第1弾、第2弾、そして第3弾、これらの制度の深掘りをさせてきました。そして、第3弾として、財産管理制度などについて、復興事業における特別の措置などを盛り込んで、用地取得手続を飛躍的に短縮する用地取得加速化プログラムを取りまとめました。このプログラムには、用地取得の迅速化のために、復興事業のための特別な措置が盛り込まれておりまして、新たに特別立法をしたと言っていいほどの、要は土地収用法の財産管理制度のそれぞれの所管する省庁に、私が自ら議論をして、もっとこういうところが迅速化できないか、そういうことを行ってきましたから、この措置については岩手県知事にも高く評価していただきました。
 一方、岩手県の要望されている案、これは相続人等を調査するのが時間がかかるものだから、その公告をして、用地を取得して、後で相続人などを調査して補償金を払うという規定をつくりたいという要望であると思います。これについては、私も、復興大臣就任以来、この問題は様々考えてきましたが、今回の岩手県の提示された制度の中身を勉強させていただきましたけれども、幾つかの本質的な論点があるのではないかと思います。一つは、相続人などを調査すれば、現在の所有者が分かる場合も多いと思いますが、それを調べずに公告するだけで、所有者の知らないままに工事が始まって、所有権を奪われることになるのではないか。一方で、工事が始まって、所有権まで奪われた後に、初めて所有者に連絡が来るような手続、これは憲法上の適正な手続の保障という要件を満たせるのかどうか。そういう制度をつくったときに、憲法違反だと訴訟が起こされて工事が差し止められれば、かえって事業は大きく遅れるのではないか。実は、こういう問題が本質的な論点ではないかというのが私の感想であります。ですから、これらの論点については、慎重な検討が必要ではないかと私は思います。
 大事なのは、用地取得加速化プログラム、これはかなり今までの運用にはない迅速化措置を講じましたから、これを活用しながら復興事業を大きく前に進めていくことが重要だと思います。大事なのは、具体的にこれまで加速化プログラムをつくりました。そして、具体的にどの事業で何が問題になっているか、これを聞かせていただいて、実務者支援チームというものも講じておりますので、一つ一つ解決に協力していきたいと思います。その中で新たな課題が出てくれば、関係省庁とともにしっかりと対応していきたいと。現場に即して、具体的に一つ一つ解決、それが私は復興の前進につながると思います。

(問)29条と31条に抵触するのではないかというお話だと思うのですけれども、今のお話を聞くと、岩手県の提案はかなり難しいのではないかというような印象を受けたのですが、そういう理解でよろしいですか。
(答)法律上の議論ですから、私もいろいろな法律はつくってきました。その私の体験からいくと、例えば私が今申し上げたような論点について、個々の詰めるべき課題が多いのではないかと私は思うと、そういうことであります。

(以    上)

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