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平野復興大臣の会見[平成24年4月6日] 

平野復興大臣記者会見録(平成24年4月6日(金)9:37~9:53 於:復興庁記者会見室)

1.発言要旨

 私からは、2件報告です。
 昨日、平成24年度予算が成立しました。予算の成立を受け、復興庁では復興庁に計上している復興事業関係予算約1兆7千億円のうち、約1兆円、公共事業約3,536億円、非公共事業約6,510億円になりますが、各所に配分しました。このうち、道路、河川等の公共事業予算につきましては復興庁が事業箇所を決定し、各省に予算配分をしました。具体的な事業箇所については、本日、復興庁ホームページにおいて公表するので御覧いただきたいと思います。
 2件目でが、福島県訪問についてです。9日(月)、国会のお許しが得られれば、いわき市を訪問して、いわき市長と意見交換を行うとともに、須賀川市を訪問して、被災地を視察したいと考えております。詳しい日程については、現在調整中です。
 以上です。


2.質疑応答

(問)藤村官房長官が語ったところによると、先週の原子力災害対策本部で、平野大臣は福島第一原発の周辺で安全・安心のための地帯を設ける必要があるという御発言をされたとのことですが、具体的にどういう地域を想定されているかをお願いします。
(答)議事概要はもう既に公表されていると思いますから、それを見ていただければよろしいかと思います。この話はもともと東京電力福島第一原子力発電所─元発電所と言ったほうがいいと思いますが-井戸川双葉町長のように、その敷地のそばに帰ることに以前から懸念を示していますが、現在の警戒区域の見直しは基本的に放射線量だけで見直そうということで、放射線量が低ければ除染作業等を通じて、できるだけ早く環境づくりができ、放射線量が高いところは帰宅困難区域として場合によっては指定させていただくというような、いずれも放射線量に基づく区分けということになります。
 長期帰宅困難区域ということについても、いずれ放射線量が下がれば、そこは帰る可能性が出てくるということであり、本当にそれだけでいいのかという問題を提供されており、特にプラントのそばについては、なかなか帰れと言われても帰れないのではないかということを言われていました。
 私は、どちらかというと、避難者をどのように帰還していただくか、帰還できない場合にはどのように支援するかという仕事を担当しておりますので、視点をどうしても前原子力発電所の周辺に住んでいた方々、あるいは町村の方々がどういうふうに考えるかということにどうしても力点を置かなくてはならないということで、問題意識を持っていたということです。
 私が申し上げたのは、まず現在の東京電力福島第一発電所の施設は、いろいろな汚水処置等を行っていますが、極めて短い1年間という期間の中で冷温停止状態を達成するためにつくった施設です。これは先般の減災の本部でも、国会でも枝野大臣、細野大臣等も言っていますが、仮設ということです。仮設ですから、これを恒久的な施設にしなくてはならない、補強しなくてはならないということで、これについては既に東京電力のほうに保安院から指示が出ています。
 短期的には、まずそういった仮設ということがあって、本来の施設からすれば、安全性については、恒久施設に比べて仮設だということについての認識は持たなくてはいかないと思います。
 ちなみに、これは冷温停止状態には何ら影響を与えるものではありません。冷温停止状態は先般のように水素爆発を起こして大量の放射能が出るというような状況は、これはまず確実にないということを宣言したということですから、この状態については何も影響を与えることではないということです。
 それから、これも地元の方から言われているのですが、今度は中長期的にはデブリを取り出すということについて、政府は、絶対の自信を持って技術開発をしながらやるということで、境界域で1ミリシーベルトを超えないということについての検証というか、そういうことでやるということで説明をしていますが、そうはいっても、原発も「安全、安全」と言って、こういう事故になったではないかということについて不安がありますねという意味において、一種の「安全率」という言葉を使っていましたが、これは先般、福島県知事と双葉郡8町村の首長が来られたときに、井戸川双葉町長が「安全率」という言葉を使っていましたが、境界、敷地の外に一つの一定の区域を設けてもいいのではないかという考え方があり、それについては、私もしっかり議論をする必要があるという問題意識を持っており、減災本部で是非検討すべきだという趣旨で申し上げたということです。
 あわせて申し上げたのは、これは直ぐに急ぐ話でもなく、10年、20年の地域のいろいろな振興計画を立てる段階で、この区域の設定の仕方についても、関係町村、特に具体的には双葉町と大熊町になると思いますが、話し合いをしていけばいいのではないかと、そういう趣旨で申し上げたということです。
 井戸川双葉町長も、渡辺大熊町長もこの考え方については、かなり─もともとどちらかというと、井戸川双葉町長から出た話でもありますので、前向きには評価していただいているのかなということです。
 あと先程申しましたように、どこまで設定するのか。500メートルなのか、1キロなのか、あるいはそれ以上なのか。こういったことについては、内部でももう少し議論した上で、また関係町村ともいろいろな方々とも意見調整や、御意見を聞き、設定するなら設定する。そして、その範囲を決めるということになるのではないかと思います。

(問)今おっしゃられた地帯ですけれども、4月に3区分に再編されましたが、それとは別の領域であるという理解を想定しているのでしょうか。
(答)先程申し上げたように、例えばどの区域でも放射線量を調べ、区域設定をするという形になりますが、放射線量が仮に下がったとしても、例えばプラントのそばに帰れと言われて、なかなか心理的な問題等もあって帰れないという方々もいるのではないですかということに対して、どういう対応をしていくかということについての政府としての答えが求められているということです。結果として、そういう観点で「バッファー」という言葉で私は言いましたが、区域を設定するということであれば、3区域としては結果的には少し違った概念になると思います。

(問)双葉町の関連で、緩衝地帯について、大体何キロぐらいで設定するか、これから協議だと思うのですが、今後、警戒区域のような半径何キロと設定するような領有域ではなく、地域単位で設定するのでしょうか。
(答)イメージとしますと、安全率という観点からすれば、やはり距離という、要するにサイトからの距離というのが一つの目安になってくるのではないかという感じはしています。
 井戸川双葉町長の言った安全率というのは、そういうイメージだったと私は受け取っています。

(問)関連ですが、これまで政府は帰りたい人には帰っていただくという基本方針に沿ってやってこられているわけですが、既に一部撤退していますように、返還かということもございますけれども、その辺、政府内での認識は如何でしょうか。
(答)返還という形ではなくて、むしろ、放射線量という形でまず長期、前まで3区分しようということになっていましたが、放射線量が下がったとしても、要するにプラントのそばにどうしても住めと言われても住めないという考え方の方々もおられるということに対して、政府としてもその考え方をまとめていかなくてはならないということです。
 ですから、そのバッファーを設定するということでまだ決めているわけではありませんし、そういったことについて、これから関係町村としっかり協議をしていきましょうということです。

(問)今の関連ですが、緩衝地帯を設けることで、むしろ安全面に関しては、緩衝地帯の中も安全になっていくということだと思うのです。むしろ安心だというふうにとらえているのですが、緩衝地帯にもともと居住していた方のための安心なのか。要は、ここは帰らなくても国は何かしら手当てしますよという安心なのか。それとも、緩衝地帯の外周の方々にこういう地帯を設けているから安心して帰ってくださいという意味の安心なのか、そのとらえ方を教えてください。
(答)私のイメージは、プラントの近くに家のある方、あるいは居住している方々に対してのその方々の考え方を踏まえた上での区域割りという考え方です。

(問)関連してもう一点。仮に新しいカテゴリーの区域となれば、3区域の再編に基づいて賠償の方針が出されていますが、新たな第4区分目の賠償の指針なりが必要になるかとは思うのですが、そこはどうでしょうか。
(答)まだ、全然そこまで頭がいっていませんが、その地域が例えば土地の扱いをどうするかということについては、私の個人的意見で言いますと、長期的避難区域については、いずれいつかは放射線量が下がってくる、ということもあり、そういう意味で長期避難区域といっても、それは避難されている方々の最終的な判断でありますが、長期的には将来帰りたいという方と、バッファーというのがどれだけの期間、一種の居住制限区域、区間は居住制限の区間をどれだけ設定するかということにもよってきますが、考え方は違ってくる可能性はあるかと思います。それがどれだけの期間でやるか、どのような期間を設定するかということによっても変わってくると思います。

(問)関連して、バッファー、緩衝地帯を設定した場合に、そのエリアを恒久化することをお考えですか。
(答)それは分かりません。それも基本的には今のところ、この間も保安院からロードマップを示されましたけれども、境界域を1ミリシーベルトで管理しますと宣言しています。その後、内部での様々なこれからの廃炉に向けての作業がどういう工程になっていくのか。大体20年から30年と言われていますから、それとの関連性でも分かってくるかもしれません。

(問)補償の面で、今審査会に出ている帰還困難区域の補償基準にプラスアルファ、上積みというのはあり得る─緩衝地帯にお住まいの住民の方は、さらに帰還困難区域よりも帰る期間、かかるリスクが高まるという受け止めを持つと思うのですが、その分の多少のプラスアルファというか、上積みとかは想定されるのですか。
(答)それはこれからの話です。何回も繰り返しますが、バッファーをどうのこうのという話は、私どものほうから文字データの概念として出てきた話ではなくて、放射線だけの単位の中でその区域割りを仮に行うとした場合でも、例えば放射線量が下がれば、プラントのそば、敷地の要するに境界のすぐそばに家を建ててもいいということになってしまうわけです。そういうことに対して疑義を持っている方々がたくさんいますと、特に心理的な問題等で。それに対して、一種の安全率というか、そういったバッファーを設けて対応していただいたほうが地域としてもまちとしてもいいのではないかという、そういう指摘を受けたということを踏まえての私なりでの提案をしたということです。

(問)バッファーの件に関連して、大臣、常々帰還支援策などはなるべくパッケージで示したほうが住民のためになるとおっしゃっていますが、バッファーの設定、それから該当地域の住民の方への手当て、こういったものはどれぐらいのスパン、期間をベースにして検討をされるおつもりでしょうか。
(答)それを早く決めないといけないのですよね。まだ政府内では、そこまで─長期帰宅困難区域でも何か5年は戻れないみたいな線引きをしていますが、では、どれだけその地域の中に戻れないのかということについては、私どもにも問いかけられています。今そのことについても内部で検討中です。
 バッファーについては、先程申し上げたように、これからの話ですから、双葉町、大熊町の町長等とも話しながら、その範囲等、それに対して決めた場合のその地域の方々の支援をどうするか。そこから話し合いをしていくことになると思います。

(問)大臣の公式の場での発言では今のところないと思うのですが、一部報道でバッファーに関して「帰宅不能域」というような表現が出ておりましたが、こういう認識が大臣にあるのかどうかということと、そういう認識であるのであれば、逆にバッファーの外周の方々には帰宅不能域に隣接した地域ということで、逆に不安を与えるのではないかと思うのですが、認識をお願いします。
(答)帰宅不能域というのは、例えば物理的に放射線が非常に高くて、それがずっと続くとか、その地域にとんでもないリスクがあって、それは潜在リスクではなくて明らかにリスクがあるといった場合には帰宅不能域ということになると思います。しかし、今のところ、現在の政府の見解は、境界域で1ミリシーベルトでコントロールして、デブリの取り出し等についても技術開発ということをしなくてはなりませんが、その範囲を超えないようにやると言っていますから、そういった意味での物理的リスクは一応ないと、少ないという判断に立っています。ですから、帰宅不能域ということについては、私はそこまでまだ申し上げたことはないですし、考えてもいないです。ただ、あくまでも住む側の立場に立ったときに、そうはいってもということは、やはりありますから、そこに対してどのように対応するかということだと思っています。
 繰り返しますけれども、政府は「安全だ、安全だ」と言って、その自信は持っているのですけれども、先程冒頭に言ったように、一番堪えたのは、原発だって、「安全だ、安全だ」と言ってきましたよねと。そういうことに対して、また同じ「安全だ、安全だ」と言われても、簡単にはのみ込めないですよねという、そういう指摘を受けているということです。

(問)9日にいわき市と双葉町を訪問するということですが、具体的にはどういうお話をされるんでしょうか。
(答)いわき市には、支所を置いたということで、まだ御挨拶をしていなかったということがまず一つあります。それから、いわき市には、たくさんの避難者の方々がおられまして、双葉郡から避難されている方もおられます。特に、いわき市長には今後の区域の見直し等に伴って、これから避難者の方々、中長期的には若干まだいわき市にお願いしなくてはならないということもありますので、そういった点のお願いと、いわき市全体の復興の状況等についての意見交換をしていきたいと思っています。須賀川市については、地震で被害が出たところですので、でき得れば庁舎の周辺をいろいろ見ていきたいと思っています。

(以上)

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