被災地での55の挑戦 ―企業による復興事業事例集―
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83 1.目的やビジョンの共有するため生産者の意識改革を進める 2.仕組みを用意し、連携の相乗効果を図る 有限会社三陸とれたて市場 2004年設立、従業員数15人'2013年11月末現在( 事例の概要 '1(プロフィール'概要( 大船渡市の㈲三陸とれたて市場は、震災前、鮮魚をインターネットで直販する「三陸とれたて市場」を運営してきた。旪の前浜魚介にこだわりながら、1匹から組み合わせ自由で魚介が買えるという消費者視点を大事にし、漁港のライブ中継、生産現場や魚市場の映像付き情報配信、ネット上で漁獲物のリアルタイム直販など、「遊び」の要素を盛り込みながら産地だからこそできるサービスを提供してきた。生産者(漁業者)からは質の高い水産物であれば正当な対価として高く買う等、生産者と共に前浜の漁業の活性化に取り組んできた会社である。 '2(バックグランド'背景( 当社は、店舗、社屋、事務所および資材の全てを津波で失った。「廃業」という文字が頭をよぎったが、顧客や生産者からの再開要望の声を受け、「立ち上がらない」という選択肢はなかった。事業再開には生産現場(漁獲・冷蔵冷凍・加工)の復興が大前提。暖流と寒流がぶつかる三陸は、かつて世界三大漁場と言われた程、豊富な漁場を有する。ただ、これまでの漁業は、その豊富な海産物を獲っては、大量消費地に流すということに注力してきた。今は、魚を直接さばき、食する人は確実に減尐し、消費者は「安く、手軽でおいしく食べられる魚」を求めている。これまでの漁業スタイルでは、消費者の購買意欲を高めることは難しく、大量に獲るほど漁業関係者たちが苦しくなっていく。ましてや世界中から安い魚が入ってくる時代である。当社の八木健一郎代表は、「従来の漁業スタイルを続けていれば三陸の水産業はこのまま衰退するのではないか」という危機感を抱いていた。「津波によって何もなくなった。であれば、生産・加工・流通・卸・販売が繋がった新しい水産の事業モデルを作れないか」。当社は、新たな事業モデルを目指し、生産者との連携をこれまで以上に強化する道を選択した。 '3(チャレンジ'挑戦( まず、取り組んだのは生産者の意識改革。具体的にはサクラエビで稼ぐ駿河湾由比漁協を視察。漁業者が漁CASの導入ファンドの支援設備の導入消費者ニーズの変化組合せ自由で鮮魚を購入可能に販路開拓首都圏の飲食店と連携観光業との連携高付加価値化食文化を売る市場に流通しない魚介を調達エンターテイメント性の提供付加価値の低い漁業質の高い水産物を高く購入ヤマト福祉財団の支援ノルウェー漁業の視察由比漁協の視察生産者の意識改革売る経験を提供推進母体の組成生産組合の設立PRコンテンツの充実漁師のおつまみ研究所の設立課題課題への対応展望本格実施準備構想・計画3.11事例1-17 最新鋭の冷凍技術で浜の料理を消費者にお届け! 岩手県大船渡市

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