被災地での55の挑戦 ―企業による復興事業事例集―
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75 「清崎モデルファーム」 事例2-9 石巻発!世界一の藻類バイオマス燃料技術を確立する! 宮城県石巻市 1.石巻の地の利を活かして、世界一のマリンバイオマスの大量培養技術の確立に挑戦 2.石巻をバイオ燃料供給の集積地にして、新しい産業基盤の構築を目指す スメーブジャパン株式会社 2009年設立,従業員数11人'2013年11月現在( 事例の概要 '1(プロフィール'概要( 直径が数ミクロンの藻類を微細藻と呼ぶ。この微細藻を大量培養して、夢のバイオマスエネルギー生産を計画している会社が石巻にある。石巻市のスメーブジャパン㈱は、石巻市でマリンバイオマス事業を展開している。設立(資本金1億9千万円)は2009年7月であるが、当社のコア事業である微細藻大量培養施設「清崎モデルファーム」が開所したのは震災後の2013年8月である。工場従業員は11名、全員が地元採用である。石巻の豊富な日照量と低温な海水を利用して年間16トンの微細藻粉末を生産する計画であり、バイオ燃料の大量生産への道を開くべく挑戦を続けている。 '2(バックグランド'背景( 藻のバイオマス燃料を商業生産するためには、①油分を多く含む藻の確保、②藻の生育に適した自然環境、③藻の大量培養技術の確立の3つの条件をクリアしなければならない。当社は①油分を多く含む微細藻「ナンノクロロプシス」、②十分な日照時間と冷たい海水を有する石巻の自然環境、③イスラエルから導入した屋外培養技術の3つの特性を活かして大量培養技術の実証を行っている。 ナンノクロロプシスは水の冷たい(5~25℃)ところで培養すると脂質をよく貯める(20~40%)という性質がある。また、粉末の状態で5%のオメガ3不飽和脂肪酸(EPA)を含有している。EPAは血液をサラサラにする効果があり、予防治療にも役立つ高機能成分である。 藻の培養には日照時間が長く、水の冷たい場所が適している。石巻の牡鹿半島地区は年間日照時間が1900時間と全国平均の1600時間を上回っており、海水の温度も8~18℃と低く安定している。 展望本格実施準備構想・計画バイオ燃料ソリューション3.11微細藻ナンノクロロプシスの発見屋外培養屋外培養適地の検討'日照時間・海水温度(イスラエル企業からの屋外培養技術のライセンス・インモデルファーム建設・運用準備地域企業、地域住民の協力石巻マリンバイオタウン構想高機能食材商品開発地域企業の協力'食品加工会社(油化技術開発東北大学、共生資源研究所との共同研究大量培養技術の確立24時間大型培養施設製造コスト削減隣接施設からの炭酸ガス利用、窒素利用内陸地での培養課題課題への対応

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