被災地での55の挑戦 ―企業による復興事業事例集―
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63 事例1-8 マーケット密着のものづくり~大学発ベンチャー企業の挑戦~ 岩手県盛岡市 1.産官学連携で開発、部品製造、組立、販売を分業する 2.マーケット密着の適切なニーズ把握と技術の差別化により生き残りを図る 株式会社アイカムス・ラボ 2003年設立、従業員26人'2013年3月末現在( 事例の概要 '1(プロフィール'概要( 盛岡市の㈱アイカムス・ラボは、岩手大学発のベンチャー企業として2003年に設立された精密機器開発事業者である。当社のビジネスモデルは、自社のメカトロ技術、大学の知識、地域のものづくり企業ネットワークを活用するというものである。当社片野圭二社長は、大手電機メーカー出身で盛岡工場閉鎖をきっかけに独立を決意し、従来から共同研究していた岩手大学と会社設立に向け研究を実施し、経済産業省「地域新生コンソーシアム研究開発事業」の採択を経て会社を立ち上げた。現在、従業員は26名である。 '2(バックグランド'背景( 当社の歴史は、経済産業省「地域新生コンソーシアム研究開発事業」でプラスチック製の動力装置を開発したことにはじまる。精密金型技術を持つ岩手大学と連携し、従来金属製であったものをプラスチックの射出成形により高精度・高寿命で部品点数を削減できるプラスチック歯車につくり変えることで、小型・軽量化に成功した。プラスチック製動力装置の技術により、測量機のレーザー調整、一眼レフカメラ向けの光の調整、電動注射機向けの液体の調整に関する製品を生産している。当社のビジネスは、①産学連携による研究開発、②当社による設計、③岩手に集積する金型・精密加工業者による部品製造、④当社による組立、検査、出荷の流れとなっている。こういった流れは、岩手県内に当社だけではなく、セイコー、シチズン、ヒロセ電機等といった精密金属加工事業者が集積していることで可能になっている。 '3(チャレンジ'挑戦( カメラ、家電、情報関連のものづくりメーカーは、海外メーカーとの価格競争に晒される中、生産拠点を海外にニーズ把握部品製造営業力技術差別化研究開発シーズ資金調達展望本格実施準備構想・計画3.11岩手大学との共同研究経産省補助金、県ファンド公共による紹介、マッチング地域の金属加工業者と連携東京での支店開設特許等適切な知財件戦略課題課題への対応当社のプラスチック製動力装置

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