被災地での55の挑戦 ―企業による復興事業事例集―
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49 事例2-1 フカヒレだけじゃない!サメをウリにしたまちおこし 宮城県気仙沼市 1.震災後の危機感をベースにした地域事業者の連携 2.外部から支援を受けやすい協議会設立による情報発信と対応 株式会社ムラタ 2007年設立、従業員数12人'2013年3月末現在( 事例の概要 '1(プロフィール'概要( 気仙沼市の㈱ムラタは、日本有数のサメ水揚げ量を誇る「フカヒレのまち」気仙沼市に本拠を置く水産加工会社である。地元で水揚げされたヨシキリサメ等をすり身加工し、はんぺん等の練り物を製造するメーカーに販売するほか、サメのヒレをフカヒレ加工業者に販売する等、同市のサメ加工業において中心的な役割を担っている。当社は震災による津波で、前処理施設、加工場とも喪失し事業を停止した。納入先メーカーからの要請もあり、水産庁の「水産業共同利用施設復旧支援事業」により加工場を再建し、2012年2月に再稼働している。 '2(バックグランド'背景( 気仙沼のサメ関連業は、①サメ、メカジキ等が主力の近海はえ縄船の漁業者、②水揚げを担う卸売市場等事業者、③すり身、ヒレ加工事業者からなる。気仙沼地域に集積するサメ関連のノウハウは、①サメの大きさ、鮮度等選別できるノウハウを卸売市場事業者が、②骨が特殊でサメを包丁で捌く特殊な処理方法やすり身の製造方法に熟練した加工技術を加工事業者がそれぞれ持っている。このような地域でのサメに関連したノウハウの存在が、気仙沼港がサメの水揚げで日本の8割を占める理由である。当社を含め、震災で気仙沼のすり身加工場が被災したため、気仙沼の近海はえ縄船は千葉県の銚子港等で水揚げするようになったが、当社を含め2か所のすり身加工工場が再稼働した結果、気仙沼港に近海はえ縄漁船が戻ってきている。しかし、稼働しているすり身加工場は震災前の4か所に比べ現在2か所に半減している。震災後、サメ肉が一時品薄になったことが影響し、はんぺん原料が別の魚種に切り替わる動きがあることや、フカヒレも中国向け輸出が減尐していること等もあり、サメの需要が冷え込み漁価が低迷している。加えて、サメの国際的資源保護の動きもありサメ関連業の環境は厳しくなってきている。このように厳しい状況にあるものの、サメは潜在的に大きな可能性を秘めている。サメは、捨てるところがなく、身は切り身のほかすり身としてはんぺんやかまぼこの原料になるうえ、血管や筋肉はおでんの材料であるスジに、ヒレは高級食材のフカヒレに加工される。皮はコラーゲンが多くニコゴリに、骨はコンドロイチンが多く、健相談相手不在地域対応の組織不在サメ需要の低迷外部との連携の弱さ協議会設置施設被災地域での理解不足展望本格実施準備構想・計画3.11水産庁補助金による復旧同業者の集まる場の設置勉強会、イベント実施協議会利用した大手企業との連携秋保温泉組合との連携直面した課題課題の解決策

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