被災地での55の挑戦 ―企業による復興事業事例集―
50/146

37 南国体験の様子 事例3-18 『一山一家』の精神でファミリー層を取り戻す! 福島県いわき市 1.フラガールによる地域と一体となった風評対策の取り組み 2.『一山一家』の企業文化を通じた従業員一丸となったサービス品質の向上 常磐興産株式会社 1944年設立、従業員数'単体(331人'2013年9月末現在( 事例の概要 '1(プロフィール'概要( いわき市の常磐興産㈱は、福島県の観光の顔として定着している温泉レジャー施設「スパリゾートハワイアンズ(以下、ハワイアンズ)」を運営する会社である。ハワイアンズは1960年代の炭鉱の衰退を受け、新たな地域産業にしようと開業した「常磐ハワイアンセンター」が前身。東北で育成が難しかったヤシの木を地熱の利用によって育成するなど、南国ハワイをイメージした施設が人気を集めた。開業時からステージでのフラダンスショーが目玉の一つで、映画「フラガール」の舞台として改めて注目された。 二世代ファミリーをターゲットにするその他のレジャー施設とは異なり、ハワイアンズの主なターゲット層は三世代ファミリーである。「開放的なハワイの南国雰囲気と豊富な温泉資源、そしてフラガールという経営資源によって三世代が気軽に一緒に楽しめる空間づくり」を強みとし、「家族や大切な人がつながる場所と時間」を提供するのがハワイアンズの特徴である。当社の執行役員の若松貴司氏は「炭鉱にルーツを持つ当社には、『一山一家(ひとつの山はひとつの家族)』という企業風土がある。ハワイアンズは開業以来、『父がホテルマン、母が厨房で皿洗い、息子がコックで娘がフラガール』といったようにいわき市民が家族総出で作り上げてきた施設。当社の社員のほとんどがいわき市出身の人間である。そのような歴史を通じて人と人とのつながりや地域との共生を大事にする精神が培われてきた」と語る。 '2(バックグランド'背景( 震災によってハワイアンズは施設が大きく損壊し、一時休館に追い込まれたが、2011年10月に一部再開、翌年2月に大幅な改修を終え全面営業再開を果たした。同時期に震災前から計画を進めていた新ホテル「モノリスタワー」も開業。宿泊設備が増強されたこともあり、震災後8万人に落ち込んだ、団体客やシニア層をメインとする宿課題課題への対応集客力の向上全面再開来館しやすいプラン作りフラガールの全国キャラバンを開始首都圏以外の利用者の誘客部分再開早期の営業再開風評被害ふくしま農業PRサポーター就任施設の魅力を高める接客サービス品質の向上展望本格実施準備構想・計画3.11フラガールきづなスクールの開始

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です