被災地での55の挑戦 ―企業による復興事業事例集―
48/146

35 飯坂ホテル聚楽'奥( いいざか花ももの湯 事例3-4 日帰り温浴施設で近隣地域の利用客を掘り起こす! 福島県福島市 1.日帰り温浴施設で滞在型観光モデルからの脱却 2.地元の人が集うコミュニティセンターとしての役割 3.地域と連携した温泉街の景観美化 株式会社聚楽 1924年設立、従業員数1,020人'パートタイマー含む、2013年8月現在( 事例の概要 '1(プロフィール'概要( 福島市の飯坂ホテル聚楽は、㈱聚楽が経営する飯坂温泉を代表する温泉ホテルである。かつての歓楽街を中心とした滞在型観光が衰退する中で、飯坂温泉も同様に観光客数の減尐に歯止めがかからず、廃業した旅館やホテルが多数存在していた。 福島第一原子力発電所の事故の影響で、県外からの観光客の増加が見込みづらくなり、滞在型観光のビジネスモデルを根底から見直す必要に迫られた当社は、近隣地域の日帰り客を取り込む戦略に転換した。震災直後に日帰り温浴施設「いいざか花ももの湯」の建設を決定、2013年4月にオープンして1年を経ずに10万人の利用客の獲得に成功している。 '2(バックグランド'背景( 飯坂温泉は、古くから宮城県の鳴子温泉、秋保温泉とともに奥州三名湯に数えられていた。高度成長期時代に開発が進み、コンクリート造の宿泊施設が多数建設され、飯坂ホテル聚楽も1967年に開業している。歓楽街温泉のイメージが強い飯坂温泉では、他の温泉街と同様に団体客の減尐やレジャー形態の変化によって客足が激減しており、震災前の入込客数は81万人で、ピーク時(1973年)の半分以下であった。廃墟となったホテルや旅館もそのまま放置されているなど、飯坂温泉全体の景観面にも課題を残していた。 県外からの団体客の増加が見込めない中で、近隣地域の利用客を呼び込むことは当社の構想に元々あった。当社は、2006年10月に新潟県の弥彦桜五郷温泉で日帰り温浴施設「さくらの湯」の開発を手掛けていたため、日帰り温浴施設の集客効果については予め把握していたが、ホテル経営との連携において課題を抱えていたた展望本格実施滞在型観光からの脱却災害復興警察、医療機関、ボランティア等の施設提供日帰り温浴施設「いいざか花ももの湯」の活用震災直後に投資決定飯坂温泉の魅力向上東京オリンピック強化合宿先の誘致日帰り温浴施設計画地域企業との連携企画地域のコミュニティセンターとして活用課題課題への対応準備構想・計画3.11施設利用型観光廃棄旅館の撤去インバウンドの増加除染作業員への対応県内および近隣地域の利用者の取り込み

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です