被災地での55の挑戦 ―企業による復興事業事例集―
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9 ③ 経営力の強化'人材育成、資金調達、業務効率化(等に対応したケース 経営力の強化は被災地企業に関わらず、全ての企業経営における永遠の課題ではある。しかし、震災という大きな外部環境の変化は、経営の巧拙やその実行力が早期の事業再開や業績回復を左右する重要な要素であったことを改めて浮き彫りにした。危機に備えて事業継続マネジメントに取り組んでいたケースや常日頃のコミュニケーションを通じて社員の自主的な判断を鍛えてきた企業は早期の事業再開を果たしている場合が多い(対応策3-1)。また、震災を契機にこれまでの業務プロセスや経営手スタイルを見直し、収益性等を改善した事例も尐なくない(対応策3-2)。 ただし、震災から3年がたってもなお、人手不足、中でも専門性のある人材の不足が課題となっている。中小企業では人的リソースに加え、スキルの不足、資金不足等の課題を抱えており、本格的な復興には自社内での企業努力に加え、外部リソースを有効に活用することが求められている。この中には、公的助成・支援を活用するものから専門家派遣制度を活用し経営の合理化・高度化を進めたケースもある(対応策3-3)。一方、長期的な視点で若手の人材育成に取り組む事例も見られる(対応策3-4)。 ③ 経営力の強化'人材育成、資金調達、業務効率化(等に対応したケース 対応策3-1 危機に備えて事業継続マネジメントに取り組む 「私の仕事シート」を導入し、社員の主体的な判断・行動を促す 2-4 地域密着型スーパーが実践する事業継続マネジメント'BCM('ウジエスーパー( 社員の判断力を鍛える常日頃のコミュニケーションを実践する 2-13 現場主義を重視する経営スタイル'弘進ゴム( 災害復旧拠点として緊急時における品揃えやサービス内容を再定義 3-2 ホームセンターを災害復旧拠点に~BCPとビジネスの両立~'ダイユーエイト( 対応策3-2 経営の合理化・業務プロセスの効率化を進める トヨタ生産方式の「平準化」の考えを業務プロセスに導入し、経営を合理化 1-12 経営の合理化と商品高付加価値へのシフト '井戸商店( 適正な在庫管理と販売計画に基づく営業で収益性を改善 1-18 震災を契機に資産効率を重視した営業スタイルへの転換!'山岸冷蔵( 販売ルートを確保できる売れ筋商品に特化し、収益を確保 2-2 「ふかひれスープ」への徹底した原点回帰 '気仙沼ほてい( IT経営の高度化を進め、高い顧客満足度を獲得 2-14 ITで業務を効率化~短納期で顧客の心をつかむものづくり~'十一屋ボルト( 経営を科学し、独自の目標管理と経営管理の仕組みを構築する 2-15 衣料品補修から「お直しコンシェルジュ」へ 'ビック・ママ( ※重複事例※ システム会社と協力し、顧客管理システムを再構築 1-13 被災をバネに「B to B」から「B to C」 へ~小野食品の挑戦~'小野食品( 複数の事業で経営資源を共有化し、範囲の経済性を確保 2-16 外食産業における流通イノベーション! 'エムケーコーポレーション( 旅館の調理場にかんばん方式を導入し、調理作業を効率化、 3-9 全国への恩返し~絆がもっと深くなるビュッフェダイニング~'栄楽館( 民芸品の製作にプロセスイノベーションを導入し、製作工程を短縮化 3-13 民芸品にイノベーションを導入し、高付加価値化を実現!'野沢民芸品製作企業組合( 原料調達から製造、商品企画、販売までを自社で一貫して手掛け、利益を確保 3-17 間伐材を活用した高級杉割り箸で林業と地域を再生'磐城高箸(

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