被災地での55の挑戦 ―企業による復興事業事例集―
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93 事例1-14 下請脱却への挑戦~「B to B」から「B to C」へ~ 岩手県釜石市 1.培われた技術力を活かして下請依存を脱却し、自社製品開発に取り組む 2.顧客のニーズを汲み上げ、製品開発に反映させ高付加価値化 石村工業株式会社 1959年創立、従業員数20人'2013年3月末現在( 事例の概要 '1(プロフィール'概要( 釜石市の石村工業㈱は、ペレットストーブ(木質ペレットを燃料とするストーブ)や水産加工機械等の製造を手掛ける企業である。当社は石村眞一社長の父が新日本製鉄(現在の新日鉄住金㈱)釜石製鉄所の設備メンテナンス業者として創業した。 1989年の釜石製鉄所の高炉停止によって、釜石製鉄所の下請業務に100%依存していた当社は仕事が無くなった。石村社長は当社の存続のため、他社の下請業務を受注しつつ、釜石製鉄所の長年の設備メンテナンス業務を通じて培った鉄板溶接技術や機械設計技術等を活かして自社製品を開発・製造し、販売していくことに取り組んだ。当初は技術開発に傾注するあまり販売戦略を誤るなどして失敗が続いたが、各種の展示会に石村社長自ら車で製品を運び、顧客の意見や要望に耳を傾けながら製品開発に取り組んでいった結果、薪・木質ペレット兹用ストーブ「クラフトマン」や、高速ワカメ撹拌塩蔵機「しおまる」などの製品を生み出していった。 '2(バックグランド'背景( 「クラフトマン」は2001年頃、(地独)岩手県工業技術センターから、再生エネルギー燃料を利用したストーブを作ってみたらどうかとの示唆を受けたことが契機となった。同センターから紹介を受けた薪ストーブの燃焼技術から木質ペレットとの組み合わせを考えつき、世界で例がない薪と木質ペレット両方が使用可能というストーブを開発した。2003年8月に試作が完成し、その後モニター用に40台を製造した。モニターの試用及び意見を踏まえた改良を経て、翌2004年に販売を開始した。薪と木質ペレットとの併用について、石村社長は「国内の木質ペレット普及はまだまだなので、薪も燃やせることで顧客に安心感を与えた」と語る。また、ペレット供給で電気を使わないため停電時でも使用可能という利点も有している。製品化以降、累計で約1,900台出荷している。 「しおまる」は2002年から、岩手県水産技術センターと共同してワカメ生産工程の機械化に取り組んでいた中で開発した。これまで2日がかりの手作業だったワカメの塩蔵工程を、ワカメを飽和食塩水に浸して攪拌する機械釜石製鉄所高炉休止展望本格実施準備構想・計画課題課題への対応3.11クラフトマン他ストーブ開発漁業者のニーズを反映しおまる開発自社製品開発地域全体での下請依存脱却技術力を活かし自社製品開発岩手県工業技術センターと共同海外展開製品の高付加価値化他社下請業務を受注しつつ、研究開発に取り組む岩手県水産技術センターと共同「新製品研究会」立ち上げ顧客ニーズを汲み上げ製品開発に反映

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