被災地での55の挑戦 ―企業による復興事業事例集―
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91 事例1-10 被災直後の「サポーター募集」を契機に通販事業へ進出! 岩手県大槌町 1.震災を契機に新アイテムの開発を通じて既存取引先との関係を深耕 2.「支援・サポーター募集」をきっかけに消費者直販ビジネスを開始 株式会社ナカショク 1998年設立、従業員数38人'2013年11月末現在( 事例の概要 '1(プロフィール'概要( 大槌町の㈱ナカショクは、三陸産のイカの唐揚げを中心に、サバやサンマの竜田揚げ等をスーパー向けに製造販売する水産加工会社である。漁業・水産加工業が基幹産業である大槌町において、当社は地場の水産加工業の一角を占める。震災前は年商5億円、主たる販売先はイオングループ(イカのから揚げ、竜田揚げ)、セブンイレブン(弁当用やおにぎり用のサケ)、その他はベニマル、マルエツ、ライフコーポレーションなどであった。震災後は、売上が半減する中、焼魚やいかめし等の新アイテムを開発し、イオングループが最大の受注先となっている。 '2(バックグランド'背景( 震災で大槌町の水産加工企業の全17社は全て津波で流された。当社も機械設備から在庫、建物等全ての資産が流出。途方に暮れる中、経済産業省の「中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業(グループ補助金)」への申請をきっかけに、地場の中小企業3社と「立ち上がれ!ど真ん中・おおつち」プロジェクトを組成。同プロジェクトの「支援・サポーター募集」は「やる気もノウハウもあります。資金がありません/大槌の水産業者 一口一万円、お礼はサケ」という見出しで全国紙に紹介され、注目を集めた。約4900人のサポーターが募集に応じ、約8000万円が集まった。このサポーターたちの激励に背中を押され、当社は再建に取り組んでいった。 当社は、グループ補助金の採択を受け、2012年夏に新工場(投資額4.5億円)を再建し、事業を再開した。また、冷凍保管設備は震災前よりも1/3の能力に落ちたものの、大槌町の「水産業共同利用施設復興事業補助金」の活用により2013年4月に500トンの冷凍庫を導入。生産能力は震災前のレベルまで戻りつつある中、失ったシェアの回復、新規開拓に向けてチャレンジしている。 資金不足支援・サポーター募集利益率の改善組合の設立課題課題への対応新アイテム'焼魚(の追加新商品開発'いかめし(サポーターとい顧客基盤の獲得既存顧客との取引再開生産効率の向上新規開拓'直販ビジネス(トップバリューの製造工場の認定直販ビジネスに向けた環境整備展望本格実施準備補助金の活用多様な商品形態原料の事前購入構想・計画3.11生産体制の安定化復旧した新工場

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