被災地での55の挑戦 ―企業による復興事業事例集―
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87 事例1-7 漁船で広告宣伝~カッコよさに拘るADBOAT JAPANの挑戦~ 岩手県盛岡市 1.インターネットを利用した支援内容の「見える化」により支援にリアリティを出す 2.支援内容の格好よさと人的ネットワークを効果的に利用した展開 ADBOAT JAPAN合同会社 2011年設立、従業員数3人'2013年3月末現在( 事例の概要 '1(プロフィール'概要( 盛岡市のADBOAT JAPAN合同会社は、震災で漁船が被災した漁師達をサポートするために2011年に設立された。当社は3名体制で運営しており、菅原社長がスポンサー集めを、佐々木氏が漁師との調整を、下山氏がデザインや施工管理を務めている。支援の仕組みは、企業等が広告費で漁師が所有する船に広告を出し、漁師は漁船に企業ロゴをF1カーのように貼った「復興支援船」で操業するというもの。この結果、漁師は使い道を限定されない「自由度の高い事業資金」を確保できる。 企業等にとっては、費用計上できる単なる広告ではなく、ニュース性もあり、CSR・ブランド戦略上の価値があるため、宣伝効果・売上上昇・CSRの向上などの効果が見込める。現在、支援を受けているのは、プロジェクト発足メンバーである(有)菅原靴店の取引先であるイタリア・ファッション系企業からのものが多い。支援広告料金は、小型・中型漁船が70~100万円/艘、船外機漁船が30~40万円/艘)、小口支援(共同広告)が1口10万円~、個人支援が1口21,000円となっている。支援金の10%は当社経費に、10~20%が船のラッピング外注経費に充てられ、残りの70~80%が漁師に配分される。現在96隻の実績があり、まだまだ支援を待っている漁師が多くいる状況だ。 '2(バックグランド'背景( プロジェクトの発起者である(有)菅原靴店は震災後、顧客から届けられた靴を被災地に送る支援活動をしていた。その中で、顧客から使い道の見える支援をしたいという声があった。また、漁師からは、岩手県の漁船の9割強が被災し、漁具等の購入資金、事業運転資金に困っていることがわかった。そこで、漁船にF1カーのように漁船に支援してくれた企業等の広告をはると“カッコ良い”のではないかと考え、ADBOATの仕組みを思いついた。 支援内容が見えない不満支援スピードが遅い漁船が被災し運転資金がない漁業者から理解・信用が得られない資金の適切な配分ができない支援者を集めるのが困難ネット上で支援内容をリアルタイムで公開既存事業の人的ネットワーク活かす漁業共同組合との協力し地元調整を依頼展望本格実施準備小回りのきく支援組織設立広告を漁船に貼るADBOATのアイデア考案お客様である漁師との協力関係構築構想・計画3.11課題課題への対応プロジェクトの仕組み

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